日本テキサス・インスツルメンツは、新たなワイヤレス・コネクティビティ・コアを追加した、WiLink 8.0シリーズを発表しました。この新製品は、45nm（ナノメートル）プロセスのワンチップ・ソリューションで構成され、最高5種類の異なる無線機能を統合し、次世代のモバイルWi-Fi(R)、GNSS（*注）、NFC（*注）、Bluetooth(R) およびFM送受信の各種アプリケーションをサポートします。
WiLink 8.0アーキテクチャは、これらの複数テクノロジーの多様な組合せをサポートすることでカスタマイズされたソリューションを実現し、すべてのモバイル市場の個々のニーズおよびコスト・ポイントに対応します。各チップは、プリント基板上に直接実装可能な小型のWSPパッケージで供給されるとともに、必要なすべてのRF（高周波）フロントエンド、全機能内蔵の電源管理システムおよび、各通信方式との共存メカニズムなどをワンチップに統合しています。5種類の無線機能を内蔵したWiLink 8.0チップは、従来の複数チップによるソリューションと比較して、システム・レベルで60%のコストの削減、45%のサイズの縮小および、30%の消費電力の低減を実現します。
*注 GNSS: Global Navigation Satellite System、全地球衛星航法システム。米国のGPS、ヨーロッパのGALILEO、ロシアのGLONAS、中国のCOMPASS、インドのIRNSS、日本の準天頂衛星などを含めた、衛星測位システムの総称。
*注NFC: Near Field Communications、近距離無線通信技術。使用周波数13.56MHz、通信距離10cm程度で、交通系や免許証などの非接触式ICカードや携帯電話などのモバイル機器などを読取り機器にかざすことでデータ通信が可能で、認証、保護などのセキュリティ機能も重要となる。
市場調査会社ガートナーのリサーチ・ディレクターであるマーク・ヒュン氏（Mark Hung）は次のように述べています。「2015年には、年間30億件を超える常時接続のモバイル機器の出荷が予測されていることで（*注）、メーカー各社は最高のユーザー体験を加速するのみならず、個別の製品プラットフォームに対応するスケーラビリティを備えた半導体ソリューションを要求しています。すべての要求に一つのサイズで対応するのは不可能です。個々のアプリケーションのサイズ、消費電力および性能要件はすべて異なります。機能の統合を革新し、消費電力を削減、さらにスケーラビリティを備えた製品が、製品の市場投入時間を短縮し、メーカー各社において未来につながるコネクティビティ搭載製品を実現します」
*注: “Wi-Fi: Future Platforms for Growth,”（Mark Hung, Gartner, 2011年10月）による
WiLink 8.0シリーズには、高集積された5種類の無線機能を内蔵し、スマートフォン、タブレット、eBook、超薄型コンピューティング機器、その他の機能豊富なモバイル製品向けに開発された『WL189x』ソリューションが含まれます。
『WL187x』、『WL185x』および『WL183x』の各ソリューションはハイエンドからミッドエンドの機器向けに追加オプションを提供、また『WL180x』ソリューションは低コストのモバイル市場に対応します。このWiLink 8.0ファミリーは、2.4GHzおよび5GHzの両方のRFフロントエンド を統合しています。
利用可能なテクノロジー・オプションは、以下のリンクよりご参照ください。
http://newscenter.ti.com/jp/Blogs/newsroom/archive/2012/02/15/ti-wilink-8-0-5-in-1.aspx
TIのワイヤレス・コネクティビティ・ソリューションズ総責任者兼バイスプレジデントのハビブ・イーラン（Haviv Ilan）は次のように述べています。「『WiLink 8.0』のような高集積された5-in-1ラジオ・チップを市場に投入するためには、たくさんの注意事項のほかに、複数の複雑なワイヤレス・テクノロジー間の共存性および低消費電力を実現するメカニズムにも細心の注意を払って開発することが必要でした。TIの革新技術が、このWiLink 8.0ファミリーにも反映され、すべてのモバイル機器に渡って次世代の常時接続体験を創成してまいります」
WiLink 8.0ファミリーの主な特長と利点クラス最高のWi-Fiモバイル・アプリケーション WiLink 8ソリューションは2x2MIMOまたはSISO 40MHzのすべての範囲のWi-Fiスループットをサポートしています。これらのチップは2.4GHzおよび5GHzの周波数帯において100Mbpsを超えるWi-Fi TCPスループットを実現する能力を備えていることから、低いレイテンシ、低消費電力およびオープンソース・ソフトウェアのサポートなどの特長によって、業界最高速のモバイル・ストリーミングおよび、Wi-Fi Direct(TM)ならびにワイヤレス・ディスプレイをはじめとした高品位（HD）モバイル・ビデオ機能を保証します。Wi-Fi MIMOを統合したWiLink 8.0の各チップは、その他のMIMOソリューションと比較して、25%のサイズの縮小および50%の消費電力の低減を提供します。
業界初のNFCコントローラ統合ソリューションWiLink 8.0の各デバイスはコンプリートなNFCコントローラ・ソリューションを統合した業界初のコンボ・チップ・ファミリーであることから、あらゆるモバイル機器でNFCを実装可能にするのみならず、より簡素化します。NFC機能を統合したWiLink 8.0コンボ・チップは、他のソリューションと比較して、50%を超えるサイズの縮小を提供します。WiLink 8.0ソリューションは、InfineonおよびNXPを含む業界リーダー各社が供給するクラス最高のSecure Elementテクノロジーを使用して、事前試験され、また高度に保護されたNFCトランザクションを実現します。
Infineon TechnologiesのChip Card & Security部門のプラットフォーム・セキュリティ総責任者兼バイスプレジデントであるユルゲン・スペンクッヒ氏（Juergen Spaenkuch）は次のように述べています。「TIの新製品であるWiLinkワンチップ・ソリューションは、各種のポータブル・プラットフォームの設計において新たな革新を引き起こします。オープンで高性能のDCLBインターフェイスを使うことで、新型のWiLinkファミリーはInfineonの組込用Secure Elementソリューションと完全に適合することから、eSEとNFCモデムとの間で最適な接続を提供します。eSEは、EMVCoおよびCommon CriteriaのEAL5+（high）の認証取得済みであるほか、モバイル支払い、アクセス制御、チケットおよび電子錠などをはじめとしたNFC対応の各種アプリケーション全体に渡って要求される、高度なセキュリティ・レベルを提供します」
NXP Semiconductorsのモバイル・トランザクションズ担当バイスプレジデントのジェフ・マイルス氏（Jeff Miles）は次のように述べています。「当社では、TIが最初に市場に出荷した5-in-1コンボ・コネクティビティ・ソリューションにおいて協働できたことを嬉しく感じます。当社は、その展開および成長において、引き続きモバイル・トランザクション市場をリードしてまいります。当社ではクラス最高のSecure ElementsおよびスタンドアロンのNFCコントローラの革新および供給を継続します。モバイル・トランザクションズ市場の成長が加速するにつれ、高度な能力を持つイノベーター各社が、すべての市場分野の需要を満たし、各市場をさらに発展させていく補完的なソリューションを供給することが必須であると考えます」
ユビキタスなポジショニング機能で、ハイブリッド・ロケーションを常時認識WiLink 8.0のGNSSコアは、標準的なGPSおよびGLONASSレシーバを超えたコンプリートなポジショニング・エンジンをオンチップで内蔵しています。このエンジンは、システム・レベルの消費電力を劇的に削減するとともに、ホストと独立したオンチップのジオ・フェンシング機能（*注）および、ロケーション・バッファリング機能を実現し、より強化されたコンテキスト・アウェアネス（*注）を実現します。より優秀なGNSSおよびWi-Fiセンサ・システムを統合したWiLink 8.0ソリューションと、それを補完するBluetoothローエナジー、ANT+およびNFCなどの拡張は、クラス最高のポジショニング機能を提供します。
*注 ジオ・フェンシング: 地図上に仮想的なフェンス（領域）を設定することで、特定のユーザーがその領域に入ったか、出たかなどを自動的に検出し、システムが対応する動作を行うようにするテクノロジー。例えば児童の登下校を父兄の携帯やパソコンなどに知らせる機能、自動車の盗難防止、レストランや商店などのマーケティング情報取得などを実現できる。
*注 コンテキスト・アウェアネス: RFIDその他のテクノロジーを用いて、コンピュータが様々な周囲環境情報を自動的に取得、処理、認識する機能。ユビキタス・コンピューティングに必要とされる。
供給についてWiLink 8.0ソリューションは、モバイルOEM大手各社向けに現在サンプル出荷中です。 WiLink 8.0ソリューションを採用した製品は、2012年後半に出荷の予定です。
テキサス・インスツルメンツ（本社：米国テキサス州ダラス、会長、社長兼CEO：リッチ・テンプルトン、略称：TI）は、世界を「もっと便利に、安全に、環境にやさしく、健やかに、そしてもっと楽しく」する可能性を広げるため、半導体の技術革新を通じて8万社にのぼるお客様を支援しています。当社は「より良い未来を築く」という責務を果たすことを念頭に、半導体製品の製造から当社従業員への対応、地域貢献にいたるまでの全ての活動にあたっています。当社の情報はホームページ （http://www.tij.co.jp）をご参照ください。
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| 2021-06-10 11:00:00 | 日本テキサス・インスツルメンツ株式会社 日本TI、業界最速の18ビットADCなど、高速と高精度のギャップを埋める新しいSAR ADCファミリを発表 最大のダイナミック・レンジと最小のレイテンシで高速デジタル制御ループを実現しながら、 消費電力を最大65%削減可能 |
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| 2020-10-23 11:00:00 | 日本テキサス・インスツルメンツ株式会社 日本TI、高精度設計の簡素化につながる、業界初のフェライト・ビーズ補償内蔵、低ノイズ降圧コンバータを発表 低ノイズ、低リップル降圧コンバータにより、ノイズの影響を受けやすいアプリケーションの高効率動作を実現 |
| 2020-10-08 11:00:00 | 日本テキサス・インスツルメンツ株式会社 日本TI、ファクトリ/ビル・オートメーション・アプリケーションの対応範囲拡大に有効なシングル・ペア・イーサネットPHYを発表 新しい10BASE-T1LイーサネットPHYにより、業界をリードする最長1.7kmでの10Mbpsデータ伝送を実現 |
| 2020-09-16 11:00:00 | 日本テキサス・インスツルメンツ株式会社 日本TI、システム・レベルの回路シミュレーションと検証を提供し、製品の市場投入期間短縮に役立つ新しいツール「PSpice for TI」を発表 Cadenceが新規設計の部品の選定、評価や検証を容易にする新しいシミュレーションと解析ツールを提供 |
| 2020-09-02 11:00:00 | 日本テキサス・インスツルメンツ株式会社 日本TI、バッテリ動作時間を50%延長し、最小のIQを実現する 業界初のDC/DC昇降圧コンバータを発表 従来比最大3倍の出力電流を達成、ビル・オートメーションやグリッド・インフラで使用されるバッテリの実効容量を最大化 |
| 2020-07-08 11:00:00 | 日本テキサス・インスツルメンツ株式会社 日本TI、業界初のゼロドリフト・ホール効果電流センサを発表 高電圧システムで時間経過および温度変動に対して安定した高精度測定を実現 |
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| 2020-02-20 11:00:00 | 日本テキサス・インスツルメンツ株式会社 日本TI、ソリューション・サイズの30%縮小につながる業界最小36V、4A電源モジュールを発表 新しいQFNパッケージに封止、産業用アプリケーション向けに高効率、低熱抵抗を提供 |
| 2020-02-18 11:00:00 | 日本テキサス・インスツルメンツ株式会社 日本TI、新たな温度限界への到達を実現する業界最小のリニア・サーミスタを発表 精度が50%向上した、高感度、シングルポイント・キャリブレーションの新しい温度センサ |
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