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	<title>中岡望の目からウロコのアメリカ</title>
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	<description>フリージャーナリストの中岡望がアメリカの経済や政治について斬新な視点で書くブログ</description>
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		<title>財政赤字問題：アメリカは第2のギリシャになるか</title>
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		<pubDate>Sun, 04 Jul 2010 00:17:57 +0000</pubDate>
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				<category><![CDATA[経済]]></category>

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		<description><![CDATA[ギリシャの財政危機で世界各国の財政問題に注目が集まっています。ギリシャはＥＵとＩＭＦの支援で当面の流動性危機は回避しましたが、どこまで国内経済の立て直しができるのかが、今後の焦点になっています。こうした中で、「アメリカも財政危機」の例外ではないという指摘も行われています。今回は、アメリカの財政危機について書いてみます。
ギリシャの財政危機は世界経済に暗雲を投げかけています。ギリシャ以外にも巨額の財政赤字を抱えるポルトガル、アイルランド、スペイン（この４カ国は頭文字を取ってＰＩＧＳと呼ばれています）も深刻な財政危機に陥る可能性が高いと予想されています。現在はギリシャが最大の焦点になっていますが、スペインの状況も急激に悪化しています。格付会社Ｓ＆Ｐは４月末にスペインの格付けをＡＡ＋からＡＡに格下げしました。さらに５月28日に格付会社フィッチもスペインの格付けをＡＡＡからＡＡ＋に格下げしました。同社は「スペイン政府の財政赤字と利払いの状況はまだＡＡＡ格の範囲内にあるが、当社はスペインの経済調整過程は他のＡＡＡ格の国に比べはるかに困難であり、時間がかかると予想している。これが今回の格下げの理由である」と理由を指摘しています。
スペインは財政赤字問題に対処するために公務員の給与削減や年金の凍結を発表しています。緊縮財政は、５月28日に行われた議会票決で賛成169票、反対168票、棄権13票と僅差で可決されました。スペインは社会党政権で、同党の議席数は169議席で、総議席350議席の過半数に達していません。ギリシャ同様に政治的に不安定な状況に置かれています。こうした政府の緊縮財政に対して、ギリシャ同様にスペインの労働組合はいずれも反対の立場を表明しています。スペインの２大労組のCCOOとUGTは６月８日にストライキを行うことを発表しています。今後、混乱はさらに強まると予想されます。ユーロゾーンに加盟する国の財政破綻から、ユーロ通貨の存続自体も問題になるとの指摘も出てきています。
財政危機は「ＰＩＧＳ」に留まるものではありません。イギリスも厳しい財政危機に直面する懸念が指摘されています。イギリスの昨年の財政の構造赤字（景気が回復しても残る財政の赤字のこと。景気変動で発生する赤字は「循環的赤字」と言います）はＤＧＰ（国内総生産）の9.2％に達しています。これは日本とギリシャに次ぐ高い水準です。こうした構造赤字を削減するには大胆な財政改革（歳出削減や増税）が必要になります。またイギリスは景気対策として財政規模を急激に拡大してきました。そのツケが回ってきているといえます。イギリスのジョージ・オズボーン大蔵大臣は、60ポンド（約87億ドル）の歳出削減を行う必要があると語っています。イギリス政府は公務員や国会議員の給与削減などを実施する方針を明かにしています。イギリスでは政府機関の責任者の給与は首相の給与よりも高いのです。首相の年収が19万7000ポンドに対して、たとえばthe National Policing Improvement Agencyの長官の年収は21万1831ポンドです。イギリスは官僚国家で、高級官僚の待遇は極めて良いのです。遠からずイギリスもPIGS同様、深刻な財政赤字に見舞われる可能性があります。一昨年、格付会社がイギリス国債の格付けの引き下げを検討しているというニュースが流れ、市場が大きく反応したことがあります。そう遠くない将来、イギリスの格付けを見直す動きが出てくるかもしれません。
【アメリカの格付けも引き下げか】
実はアメリカも例外ではないのです。３月に格付会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは、「アメリカは数年以内に格下げされる可能性がある」という報告を発表しました。同社はさらに「アメリカ政府が財政赤字の管理に失敗すれば、米財務省証券（米国債）は最も安全な投資対象の格付けが引き下げられるかもしれない」とも指摘しています。米財務省証券な“ギルト・エッジ格付け（最優遇格）”を失う可能性に限りなく近づいているとも指摘しています。現在の米財務省証券の格付けはＡＡＡです。もし米財務省証券の格付けが引き下げられると、アメリカも他の国と同様に、財務省証券の発行条件が悪化します。すなわち金利が上昇します。金利が上昇すれば、利払い負担が増え、財政状況をさらに悪化させることになります。現在、世界の資金は“セイフ・ヘブン”であるアメリカに大量に流入してきており、アメリカ政府は低コストで資金を調達できるのです。しかし、財務省証券の信用度が低下すれば、調達金利は上昇することになります。事実、財務省証券の「イールド（市場利回り）」は上昇しています。2009年1月2日の20年物の財務省証券のイールドは3.22％でしたが、2010年5月28日のイールドは4.05％です。イールドは債券の信用度だけでなく、景気状況も反映しているので、単純に比較はできませんが、イールドが1.2ポイントと急激に上昇しているのは財務省証券の信頼度が低下している証拠であることは間違いないでしょう。ちなみに期間20年のＡＡＡ格社債のイールド（5月28日）は5.14％です。財務省証券と社債のイールド格差は縮小しています。
また、ムーディーズは、アメリカの財政赤字は構造的な赤字で、「成長率を高めるだけでは解決できない」とも指摘しています。先進国ではアメリカ、イギリス、ドイツ、フランスの国債の格付けはいずれもＡaaです。しかし、同社は、アメリカとイギリスの状況はドイツやフランスよりも厳しいと分析しています。ちなみに日本は2009年5月にAaaからAa2に引き下げられています。これは英米仏独に比べると２ランク下になります。
今年度のアメリカの財政赤字はＧＤＰ比で10.6％に達すると予想されています。これは1946年以来最高の水準です。残高ではＧＤＰの64％にまで増加すると予想されています。歳出規模も戦後最高のＧＤＰの25.4％に達すると見られています。要するにアメリカの財政状況は戦後最悪の状況にあるのです。先進国はいずれも財政赤字問題に直面していますが、英米の状況が独仏に比べて悪いのは、経済政策の違いがあるからです。英米は積極的な財政拡張を続けてきました。これに対して独仏は財政刺激策に慎重な姿勢を取ってきました。そうした政策の差が、現在の財政状況の危機度の違いになって現れているといえます。
そうした状況の中で、イギリスの中央銀行であるイングランド銀行総裁が、アメリカの財政危機に警鐘を鳴らす演説を行いました。５月16日、イングランド銀行の「インフレ報告」を発表した後の記者会見でマーヴィン・キング総裁は「アメリカはギリシャと同じ財政問題に直面している」というショッキングな発言をしました。具体的には「世界中の国が同じ状況に置かれている。世界最大の経済大国アメリカでさえ、非常に巨額の財政赤字を抱えている。今後数年の内に巨額の財政赤字を削減しなければならない」と、財政赤字問題の深刻さを指摘しています。財政赤字削減は喫緊の問題で、短期間に対処する必要があるとも言っています。さらに「もし財政赤字問題で市場を納得させることができなければ、政府は巨額の資金を市場から“妥当な金利で”資金を調達することができなくなるだろう」と警鐘を鳴らしています。またユーロに関連し、「ユーロを存続させるためには、通貨同盟と同様な財政同盟を設立する必要がある」と、現在のユーロゾーンの抱える構造的な問題を指摘しています。通貨同盟で金融政策の一体化やユーロという共通通貨を導入したのですが、財政政策の運用は各国政府に委ねられています。それが今回のギリシャ危機に端的に現れたのです。
【本当にアメリカはギリシャと同じか】
5月11日付けのニューヨーク・タイムズ紙に同紙の経済記者デビッド・レオンハートは「In Greek Debt Crisis, Some See Parallels to U.S.」と題する記事を寄稿しています。同記者は記事の中で「アメリカは（ギリシャと）本当に違うのだろうか」という問題提起をしています。そして、「今後20年でアメリカの財政赤字はＧＤＰの140％にまで拡大すると予想されている。州政府の財政赤字などを加えれば、その額はさらに大きくなるだろう。現在のギリシャの債務はＧＤＰのほぼ115％である」と指摘しています。“20年後”という長期的な予想ですが、アメリカの財政状況の悪化は避けられないというのが、現在のアメリカの一般的な見方です。さらに続けて「アメリカはギリシャと同じ問題に直面しないかもしれないが、基本的な問題は同じである。両国とも政府の歳入以上に大きな政府になっている。政治家が問題なのではなく、国民こそが問題なのである」と書いています。「ギリシャなど欧州の国は外部からの圧力で改革を迫られている。アメリカには資金の貸し手が要求する前に問題を解決するチャンスがある。幸いにも貸し手はアメリカ経済をセイフ・ヘブンだと引き続き見ている」と、早く財政赤字問題に取り組めば、ギリシャの二の舞は避けられると訴えています。そのためには、政府は歳出削減と増税をＧＤＰの７％から８％に達する規模で実施する必要があると指摘しています。要するに、アメリカがギリシャのようにならないためには、同記事は社会福祉などを削減し、“小さい政府”を実現する必要があると言っているのです。
こうした議論に対してプリンストン大学のポール・クルーグマン教授は、５月13日付けのニューヨーク・タイムズ紙に「私たちはギリシャではない」と題する記事を寄稿し、アメリカ＝ギリシャ論に批判を加えています。「ギリシャ危機は医療保険制度改革に反対し、社会福祉削減を要求している一部の人を非常に喜ばせている。彼らは、福祉政策を放棄しなければ、今日のギリシャが明日のアメリカになると主張している」と、“アメリカ・ギリシャ論”は政治的な意図を持って一部の論者が行っていることだと指摘しています。さらに「アメリカとギリシャは巨額の財政赤字を抱えているが、市場は両国をまったく違った取り扱いをしている。ギリシャ国債の金利は財務省証券の金利の倍であり、ギリシャ国債は最終的に破綻する高いリスクがあるが、財務省証券のリスクは実質的にゼロだと見ている」と、市場の両国に対する評価が基本的に異なると指摘しています。しかも、アメリカ経済は回復基調にあり、やがて雇用も増え、税収も増える見通しであり、ここでもギリシャとは基本的に異なると指摘しています。
ギリシャ危機に関しては、「ギリシャは罠にはまっている。もしギリシャが独自の通貨を持っていれば、為替を切り下げることで競争力を回復できたはずだ。しかし、独自の通貨を持たないため、ギリシャは何年にもわたるデフレとゼロ成長に直面している。したがってギリシャにとって唯一の方法は歳出削減を通して財政赤字を削減するしかない。だが、投資家はそうした歳出削減ができるかどうか疑問を抱いている」と分析しています。
結論として「アメリカはギリシャではない。アメリカは現在巨額の財政赤字を計上しているが、アメリカ経済の状況は極めて良好である」と述べています。さらに「今後数年のアメリカの財政見通しは悪くはない。長期的に深刻な財政問題はあるが、それは医療保険制度改革などの政策の組み合わせと小幅な増税によって解決できる。財政責任を懸念している振りをしている人々を無視すべきだ。彼らの目的は福祉国家を解体することだ」と、アメリカでの議論は“政治的な目的”のために行われているのだと主張しています。
【これからのアメリカの問題】
クルーグマン教授の指摘は興味深いのですが、やや政治的な色合いが強く出ています。アメリカが深刻な財政赤字問題を抱えていることは事実です。過去において、第2次世界大戦など異常な事態に財政赤字は膨らんでいますが、平時に戻ると、財政赤字も縮小しています。楽観的な見方は、今回も金融危機や様々な異例の事態の中で財政赤字が拡大したので、事態が落ち着けば、財政赤字も減少し始めるというものです。しかし、オバマ政権の予測では2019年、2020年に財政赤字は再び拡大すると言うものです。要するに、10年以上にわたってアメリカの財政赤字の縮小は見込めないどころか、逆に増えていく可能性が強いのです。財政赤字の拡大は、ひとつには行政サービスの低下を招きます。あるいは増税が避けられなくなります。また、キング総裁が指摘しているように、市場から資金を“妥当な金利”で調達できなくなります。もうひとつ大きな影響があります。オバマ政権の国家経済委員会議長のローレンス・サマーズは「世界最大の借金国が世界の最強の国であり得るのだろうか」と語っています。事実、アメリカの国力は急速に落ち込んでいます。たとえば、アフガニスタンへの増派ももはや同盟国の支援なしには行えなくなっているのです。それはアメリカはもはや財政的な負担に耐えられなくなっていることを意味します。オバマ大統領も「財政問題がアメリカの外交政策を弱体化させる」と認めています。
アメリカとギリシャの大きな違いは、アメリカはドル、すなわち自国の通貨で資金を調達しているのに対して、ギリシャは同じドルですが、他国の通貨で資金を調達していることです。ギリシャが資金を返済するにはドル資金を調達する必要があります。しかし、アメリカは極論すれば、インフレを引き起こせれば、債務者利得を労せずして手に入れることができるのです。基本的にアメリカには流動性の問題はないのです。ただ、財務省証券に対する投資家の信頼が低下すれば、金利派上昇するという市場メカニズムは働きます。その意味で、アメリカはいつも自由であるというわけではありません。
財政赤字問題は経済問題であると同時に政治問題でもあります。ギリシャにせよ、スペインにせよ、国内での深刻な政治的対立を引き起こしています。「アメリカのギリシャ化」は、違った意味で、無視できない問題といえます。日本の場合は、どうなるのでしょうか。非常に興味あるテーマです。
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		<title>アメリカ最大の聖域：最高裁判所の実態</title>
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		<pubDate>Sat, 03 Jul 2010 13:48:29 +0000</pubDate>
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				<category><![CDATA[政治]]></category>

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		<description><![CDATA[この３ヶ月、記事をアップできませんでした。大学教授としての新しい生活が始まったので、相変わらず多忙な生活が続き、ついつい時間が経ってしまいました。少し体勢を立て直して、またアップを始めるつもりです。私の関心項目のひとつにアメリカの最高裁判所があります。最高裁に関する資料は随分溜まりましたが、なかなか書くチャンスがありませんでした。今回、最高裁人事に絡んで、書いてみました。最高裁はアメリカの最大の聖域です。かつて映画で「ペリカン文書」というのがありましたが、それは最高裁の人事を巡る内容でした。今後も折に触れて最高裁に関して書くつもりです。
アメリカの最大のサンクチャリーは最高裁である。黒い法衣を着た９名の最高裁判事が、アメリカの政治と社会の方向性を決めているのである。最高裁の内情は秘密に包まれている。ジャーナリストのジェフリー・トービンは自著の『ザ・ナイン』（２００７年刊）の中で「最高裁がどのように運営されているか外部から秘密にされている」と述べている。
また憲法学者のマーク・レビンも著書『メン・イン・ブラック』（２００５年刊）の中で「多くの点で最高裁判事は議員や大統領よりも大きな権力を持っている」と指摘し、「最高裁の９名の判事のうち五名が国家全体の経済政策、文化政策、安全保障政策の行方を決定することができるし、現実にそうしている」と、最高裁の持つ圧倒的な権力について語っている。
最高裁判事は大統領によって指名され、上院によって承認されて、その地位に就く。任期は終身で、自ら辞任するか、死亡するか、あるいは議会から弾劾されない限り、地位は保証されている。しかも、かつて最高裁判事が弾劾によって辞任に追い込まれた例はない。日本のような国民審査も行われない。大統領の任期が最大８年であるのと比べると、その地位の影響力の大きさが分かる。
大統領にとって最大の仕事の一つが最高裁判事の指名である。空席がない限り、大統領は最高裁判事を指名することはできない。また最高裁判事の指名に当たって、大統領は政治的に近い立場の人物を選ぼうとする。誰が最高裁判事になるかによって、判決が大きく変わってくるからだ。ブッシュ前大統領は８年間の在任中に指名した最高裁判事は２名に過ぎなかった。クリントン大統領も２名である。戦後、最も多くの最高裁判事を指名したのはアイゼンハワー大統領である。オバマ大統領は在位二年に満たないが、昨年の５月のソニア・ソトマイヨール控訴裁判事を指名し、今年の５月にエレナ・ケーガン・ハーバード大学法律大学院学部長を最高裁判事に指名している。
上院では野党が与党の影響力のある最高裁判事の承認に抵抗するのが普通だが、それだけ最高裁判事の持つ影響力が大きいからである。上院が承認を拒否した候補者は１２名である。たとえば１９８７年にレーガン大統領が指名した保守派で知られたロバート・ボーク・イエール大学教授が野党の民主党の反対で承認が拒否されている。
最高裁の権力の源泉は、最高裁が持つ憲法解釈の権限にある。１８０３年のマーベリ対マディスン裁判で憲法の最終的な解釈の権限は最高裁にあり、議会も政府も州も、憲法解釈で最高裁の判断に従わなければならないとの判決が出た。日本では最高裁の違憲判決が出ても政府が判決を無視するケースが多いが、アメリカでは最高裁の判決は絶対である。
最高裁の判決が政治を先取りしてアメリカ社会を大きく変えた例は幾つかある。１９５４年のブラウン対教育委員会裁判は人種差別撤廃の流れを作った。１９６３年のニューヨークタイムズ対サリバン裁判は公務員の名誉毀損を厳格に規定し、言論の自由を保障し、その後の報道のあり方に大きな影響を与えた。１９７３年のロー対ウエイド裁判では初めて女性の中絶件を認め、アメリカ社会に大きな影響を与えた。中絶問題は現在でも大きな政治問題で、共和党や保守派は同判決を覆す運動を続けている。上院での最高裁判事承認にあたって同裁判に対する見解がリトマス紙となっている。
特にアール・ウォーレンが最高裁主席判事を務めた１９５３年から１９６９年の期間は“ウォーレン裁判”と呼ばれ、最高裁は相次いでリベラルは判決を下している。この時代はリベラルの時代といわれるが、そうした流れを作ったのは最高裁の一連の判決であった。政治が時代の後を追っかけていたのに対して、最高裁は時代をリードしたのである。
最高裁の判決が政治に大きな影響を与えた例は数多くある。ルーズベルト大統領はニューディール政策のうち一二法案について最高裁は違憲判決を下している。同政権が成立したとき、最高裁判事は共和党大統領によって指名された判事が多数を占めていた。最高裁が違憲判決を下した政策の中にはニューディール政策の柱でもあった「農業調整法案」が含まれている。最高裁は、農民救済は州の権限であり、連邦政府の関与は州政府の権限を侵す物だというのが、判決の理由であった。さらに企業の過当競争や過剰生産を調整することを目的とする全国復興局の設置も、政府の市場介入を理由に違憲判決が下されている。こうした共和党よりの最高裁に対して、ルーズベルト大統領は選挙での圧倒的勝利を背景に熾烈な権力抗争を展開している。ルーズベルト大統領は最高裁判事の数を増やそうとしたり、民主党寄りの判事を指名するなどしている。ちなみに同大統領は就任中に８名の判事を指名している。
戦後も朝鮮戦争の最中の１９５２年に全米鉄鋼労組がストライキを計画したため、戦争遂行に支障が出ると判断したトルーマン大統領は大統領令を出し、製鉄会社を管理下に置こうとした。だが最高裁は６対３で、大統領令は連邦政府の権限を越えるものであると違憲判決を下し、大統領は指令の撤回を余儀なくされている。また、１９８５年にグラム・ラドマン・ホリングス法（均衡財政・緊急赤字管理法）が成立したが、最高裁は違憲との判断を下したため、法律は無効となった。そのため議会は違憲部分を修正して１９８７年に再び同法を成立させている。
最近でも最高裁の判決が政府に大きな影響を与えた例がある。ブッシュ前大統領はテロリスト容疑者をキューバのガンタナモ基地に収容し、拷問を加えるなど不当な扱いをしていた。この問題はハムダン対ラムズフェルド裁判で審議され、２００６年に最高裁は５対３でブッシュ大統領が設置した軍事調査委員会は違憲であるとの判決を下したのである。この結果、ブッシュ政権はイラク政策の修正を迫られることになった。違憲の理由は、大統領は議会の承認を得て軍事調査委員会を設置することができるが、議会はその権限を大統領に付与することを拒否しているというものであった。
オバマ大統領も同様な問題に直面している。オバマ大統領は民主党の念願でもあった国民皆保険制度を実現したが、現在、１２州の司法長官が医療保険制度改革法は違憲であると訴訟を起こしている。その根拠は、同法では２０１４年までに国民全員に保険制度への加入を義務づけ、また企業にも従業員への健康保険提供を義務付けている。加入しない場合、罰金を課せられることになっている。こうした強制加盟は、国民の憲法が保証する「選択権」を侵害するものであるというのが、１２州の司法長官の主張である。４月段階では既に４州が同法の実施を阻止する法案を可決している。こうした動きに対してホワイトハウスのデビッド・アクセルロッド上級顧問は「同法は法的な挑戦に耐えることができる」と楽観的な見通しを語っている。
医療保険制度改革は国民の支持を得ていない。４月１９日に発表された世論調査会社ラスムーセンの調査では、国民の５６％が同法の撤廃を支持している。共和党は１１月の中間選挙を同法のリフレンダム（国民投票）と位置づけ、攻勢を強めている。中間選挙では与党民主党の後退は避けられない状況になっており、オバマ政権は医療保険制度改革法の違憲裁判と中間選挙という二つの挑戦に直面している。支持率が低迷するオバマ大統領にとって厳しい状況は続きそうだ。
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		<title>ユーロの将来：ギリシャ危機で露呈したユーロの弱点</title>
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		<pubDate>Fri, 26 Mar 2010 15:41:00 +0000</pubDate>
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		<description><![CDATA[ギリシャの財政危機に端を発したユーロ危機も当面の山は越えたようです。ギリシャ政府は自力で50億ユーロの国債を発行し、財政赤字削減策を打ち出しました。厳しい緊縮策は国内で強い反発を招いていますが、金融市場や為替市場は落ち着きを取り戻し、ユーロ相場も回復に向かっています。この数ヶ月のユーロ相場の動きを見てみると、対ドルでは、２月25日に１ユーロ＝1.3489ドルの安値を付け、緩やかに上昇に転じています。3月17日の相場は１ユーロ＝1.3756ドルです。対円相場でみると、2月25日に１ユーロ＝120円66銭の安値を付けた後、反転しています。3月17日の相場は、１ユーロ＝124円43銭です。ちなみに過去120日のユーロの対ドル相場の最高値は、昨年の12月3日の１ユーロ＝1.512ドルでした。対円相場では、10月26日の１ユーロ＝138円09銭でした。
【ギリシャ危機はまだ終わらない】
このままユーロ相場の上昇が続くかどうか、まだ判断できません。当面の危機を乗り切ったとは言え、ギリシャ政府の国債は4月に120億ユーロ、5月に80億ユーロの満期が到来します。こうした返済資金の手当てはまだ付いていません。多くの欧州の銀行は巨額のギリシャ国債を保有しています。たとえば、ドイツのコメルツバンクが保有するギリシャ国債は320億ユーロに達しています。欧州の銀行が巨額のギリシャ国債を保有している理由は極めて簡単です。民間銀行は現在、欧州中央銀行（ＥＣＢ）から金利１％で資金を借りることができます。他方、ギリシャ国債の利回りは5％程度ですから、ＥＣＢから借りた資金でギリシャ国債を買えば、大きな利益を上げることができるからです。またヘッジファンドなども巨額のギリシャ国債を持っています。そうした投資家は、将来のリスクに備えてクレジット・デフォルト・スワップを組んでいます。その額は850億ドルに達していると推定されます。今、ギリシャはアメリカのサブプライムローン危機と同じような状況に置かれているのです。そうした危機を本当に乗り切ることができるのか。もしギリシャ国債がディフォルトに陥れば、新しい金融危機が発生する可能性もあります。その意味で、ギリシャ危機はまだ完全に終わったとは言えない状況です。
【ユーロ導入】
そうした状況の中で「ユーロ」を共通通貨とする欧州通貨同盟が崩壊するのではないかという議論も出てきています。現在の共通通貨ユーロが導入されたのは1999年1月1日です。最初はＥＵ（欧州連合）に加入する11カ国（ドイツ、フランス、イタリア、オーストリア、アイルランド、アイルランド、ルクセンブルク、オランダ、ポルトガル、スペイン、フィンランド）で発足しましたが、その後、ギリシャ、スロベニア、キプロス、マルタ、スロバキアが加わり、現在は16カ国になっています（ちなみにイギリスは通貨同盟に加わっておらず、今でもポンドを使っています）。この16カ国を「ユーロ・ゾーン」と呼んでいます。ユーロの導入と共に、欧州中央銀行（ＥＣＢ）が設立され、共通の金融政策が行われるようになりました。すなわち、金利はＥＣＢが決定し、それはユーロ・ゾーンの国で適用されます。
ユーロが最初に為替市場で取引されたのは1999年1月4日で、その時の対ドル相場は１ユーロ＝1.1789ドルでした。現在の水準と比べると、非常にユーロ安で取引が始まったといえます。ユーロ相場は下落が続き、2000年10月26日には１ユーロ＝0.8252ドルの最安値を記録しています。ユーロ安に対処するためにＥＣＢや日銀、ニューヨーク連銀が市場介入して、ユーロを買い支える局面もありました。そして2008年7月15日に1ユーロ＝1.599ドルまで上昇しています。対円相場で見ると、2000年10月26日に１ユーロ＝89円30銭の安値を付けています（すなわち超円高でした）。それが2008年7月23日に１ユーロ＝169円75銭まで、ユーロ相場は上昇しています。こうしたプロセスを経ながら、ユーロはドルに並ぶ国際通貨として認知されていきます。ユーロが導入された翌年の2000年にはユーロは世界の外貨準備の18.8％しか占めていませんでした。ただ1998年のユーロ・ゾーンの中で最強の経済力を持っていたドイツ・マルクの外貨準備の比率が約14％あったので、ユーロ導入で若干増えたといえます。しかし、着実にその比率は高まり、2008年には26.5％になっています。逆にドルの比率は2000年の70.5％から2008年には64％にまで低下しています。ちなみに円は2000年の段階で6.3％でしたが、2008年には3.3％にまで低下しています。
【通貨同盟の構造的な問題】
実は、ユーロには重大な問題があります。それはＥＣＢが共通な金融政策を担当するのに対して、財政政策は加盟国の政府に任されていることです。すなわち金利はＥＣＢが決めるのに、税制や歳出は加盟国の政府が決めるという二重構造になっているのです。またユーロ・ゾーンの国の経済成長率やインフレ率は異なっています。本来なら一つの国では金融政策と財政政策は一体化して、その国の経済状況に合わせて行われます。ユーロ・ゾーンは共通通貨のユーロを導入したのですが、国家の枠組みは残されています、財政状況がばらばらでは、共通通貨であるユーロを維持するのは困難です。そこで、加盟国の財政規律を守るために、1997年に「安定と成長のための協定」が結ばれます。そこで通貨同盟に加入する財政の基準が決められたのです。すなわち「財政赤字はＧＤＰの3％以内」と基準を守ることが要請されました。もし、この基準に違反すると、その国は違反金を支払わなければなりません。さらに2005年3月に「国債残高をＧＤＰの60％以下」に抑える修正が加えられました。
しかし、現実には、多くの加盟国はこの基準を満たすことが出来ませんでした。今回、問題となったギリシャは、この「60％、３％ルール」を満たしたことはありません。また、ギリシャはＧＤＰ統計に地下経済などの経済活動など通常はＧＤＰ統計に加えられない数値を上乗せしてＧＤＰ統計を水増したり、国債発行をスワップとして処理して債務額を減らすなどの細工をして基準を満たそうとしたこともあります。ギリシャの危機は、格付け会社による格下げが発端となりました。それほどギリシャの財政状況は悪いと見られています。一国の場合、景気が悪くなれば景気政策を発動して、財政赤字を拡大することができます。ただ、ユーロ・ゾーンの国には、そうした財政政策に枠がはめられているのです。
もうひとつの問題は、景気が悪い国の為替相場は下落するのが普通です。しかし、ユーロ・ゾーンの国は為替効果を期待できないのです。ユーロ相場はユーロ全体の経済で決まり、特定の国の経済状況は問題になりません。仮にギリシャが為替相場を切り下げて輸出を増やそうとしても、それはできないのです。ただ、今回のユーロ安はギリシャの経済危機が原因となっています。それは他の加盟国にも影響を与えます。ドイツのように輸出依存度が高い国はユーロ安がプラスに作用します。現実にユーロ安でドイツの輸出は大きく増えています。期せずして景気刺激効果がもたらされた訳です。これは“ギリシャによる刺激（Greek Stimulus）”と呼ばれています。逆に輸入依存度の高い国ではユーロ安はマイナスに働きます。すなわち輸入品価格が上昇するからです。
また金融政策に関しても同様のことが言えます。現在、ドイツやフランスの景気回復は進み、インフレ懸念が議論されています。異常な低金利政策の是正が必要になってきています。この問題は「出口戦略」として議論されています。しかし、景気の良い国の経済状況に基づいて金利を引き上げれば、ギリシャなど景気の悪い国に大きなダメージを与えることになります。現在、巨額の財政赤字を抱え、不況に苦しんでいるユーロ・ゾーンの国は、ギリシャ以外にポルトガル、イタリア、スペイン、アイルランドがあります。この5カ国の頭文字を取って”Piigs”と呼んでいます。
【危機に直面する国を救済できない】
もうひとつの問題があります。それは「安定と成長のための協定」の125条に「救済の禁止条項」があるからです。要するに、どの加盟国も他の加盟国の中央政府、地方政府、公的機関の債務を救済してはならないと決められているのです。今回のギリシャ危機では、ドイツ政府の対応が注目されました。それは、もし救済するなら、ドイツ政府しかないからです。協定で救済が禁止されているだけでなく、ドイツ国内でも救済に反対する声は強いのです。共通通貨を持っているとはいえ、それぞれが独立国家であり、他の国を救済するのに国民の税金を使うことに抵抗感があるのです。ただ、今回の場合、ギリシャの破綻はユーロ・ゾーン全体に大きな影響を与える可能性があります。連鎖的に他の国も破綻に追い込まれる事態になれば、通貨同盟が崩壊する懸念も出てきます。当面、ギリシャは危機を乗り切ったのですが、これで解決したわけではありません。
加盟国がユーロをまもろうとすれば、協定に反して国をなんとかしなければなりません。ただ、除名することは現実的に出来ません。また、景気回復のために為替政策や金利政策を使えない国はユーロ・ゾーンに留まるメリットはないともいえます。逆に、厳しい緊縮財政を要求され、国内で深刻な政治問題を引き起こす可能性もあります。
ハーバード大学のフェルドシュタイン教授は、ずっと以前から、こうしたユーロの持つ構造的な問題を指摘し、ユーロは崩壊する可能性があると指摘していました。もし”Piigs”のどこかが本当に破綻したら、ユーロそのものにも深刻な影響が及ぶことは間違いないでしょう。
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		<title>医療保険制度改革とオバマ政権：対立深まる民主党と共和党</title>
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		<pubDate>Fri, 26 Mar 2010 13:52:37 +0000</pubDate>
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		<description><![CDATA[アメリカにとって国民皆保険制度は重要な課題でした。最初に国民皆保険制度を訴えたのは進歩党（Progressive Party)から大統領選挙に立候補したセオドーア・ルーズベルトでした。その後、フランクリン・ルーズベルト大統領もニューディール政策の一環として国民皆保険制度の確立を目指しましたが、実現に至りませんでした。ジョンソン大統領の時に高齢者と低所得者を対象にするメディケアとメディケイドが導入されましたが、アメリカの医療保険は基本的に個人加入か企業が提供するものでした。その結果、膨大な数の無保険者が存在し、医療サービスも保険料で決まるなど所得による大きな差が存在しました。そうした民主党の長年の念願が実現したのです。それは大きな前進ではありますが、同時にまだ多くの問題が残されています。当面の問題は、同制度を巡る民主党と共和党の対立激化で、11月の中間選挙の大きなテーマになりそうです。
①	法案成立に至る過程＝今回の下院での法案成立は異例な措置で可決された。本来なら下院案と上院案の相違の調整は両院協議会において行われる。両院協議会で法案の一本化が図られ、再度、両院で採決されることになる。両院は昨年12月にそれぞれの案を可決している。１月19日のケネデフィ上院議員の死去に伴う補欠選挙で、共和党候補が勝利し、上院の勢力図に変化が生じた。選挙の結果、上院は無所属を含め民主党議員の数は59議席となった。上院では野党のフィリバスター（議事妨害）が合法的に行うことができる。その理由は、議事進行規定に発言時間の制限がないため、延々と演説を継続することができる。そうしたフィリバスターを阻止するには、審議打ち切り・採決道議を提出し、可決する必要がある。同法案を成立されるには60票が必要となる。しかし、マサチューセッツ州上院議員補欠選挙で共和党候補が勝利し、民主党から議席を奪った結果、上院の勢力図は民主党が60議席を割り込む状態となった。共和党は同法案成立に反対の立場を取っており、もし両院協議会で法案調整が行われ、再び上院で採決が行われるとなると、共和党はフィリバスター戦略を取り、法案成立阻止を図る懸念が出てきた。
そのため、民主党は共和党のフィリバスターを阻止するために異例な手段を取った。それは民主党が圧倒的多数を占める下院で、上院案を無修正で可決することである。そうすることによって両院協議会での調整が必要となくなる。しかし、民主党としては上院案をすべて飲むことはできないことから、民主党の主張を織り込んだ修正案を同時に可決する方法を選択した。同修正案は”Reconciliation law（調整法案）”と呼ばれる。この調整法案は上院の採決を経る必要があるが、その際、単純多数決で採決が行われる。それによって上院で共和党のフィリバスターを封じることができることになる。この手法は、予算案の審議に用いられるもので、通常の法案に適用するのは異例の事態である。
②	民主党内の対応＝下院民主党は全会一致で同法案を支持していたわけではない。むしろ反対派が多く存在していた。特に中絶費用を負担するかどうかが大きな争点となっていた。特に民主党のBart Stipak議員は中絶に反対する立場から法案成立を阻止する立場を取っていた。保守派の民主党議員の支持を得なければ、法案成立は難しい状況であった。従来、法案成立に関して指導力を発揮していないと批判されていたオバマ大統領はアジア歴訪の予定を延期して議会工作にあたった。最終的にオバマ大統領は、法案成立後、大統領令（executive order）を出して、中絶費用は保険の対象にならないと決定するという妥協案を提案し、民主党内の保守派議員の説得に成功し、法案成立に至った。なお、オバマ大統領は3月23日に「連邦資金を中絶費用に宛てることを制限する」という大統領令を出している。上院案は219対212とわずか７票差で可決された。調整法案は220対211で可決された。成立した法案はホワイトハウスに送付され、3月23日に大統領が署名した。しかし、同法が効力を発するには調整法案が上院で可決される必要がある。調整法案は３月25日に上院で可決され、最終的に医療保険制度改革は実現されることになった。
③	同法案成立に対する評価＝多くのアメリカのメディアは、同法案の成立を高く評価している。同法案の成立は、ジョンソン政権の時に成立した「メディケア（高齢者医療保険制度）」と「メデケイド（低所得者医療保険制度）」に匹敵する“歴史的出来事”であると評価。また、一部のメディアは、同法の成立で「オバマ大統領は歴史に残る大統領になった」と極めて高い評価を行っている。オバマ大統領も「既得権益者の不当な影響力押し返した」「私たちは不信と嘲笑と恐れに屈することはなかった」「これはラディカルな改革ではないが、大きな改革である」と、その勝利を表現している。また、民主党のマーシー・キャプチャー下院議員は「同法の成立はアメリカの新しい時代の先駆けとなる」と語っている。またドリス・マツイ下院議員も「同法によって数百万のアメリカ人の生活が改善される」と、高い評価を与えている。
ちなみに、同法案の成立によって3200万人の無保険者に保険が適用されることになる。それでも2300万人が無保険の状況に取り残されるが、その大半は違法移民者である。同法では違法移民者に対する適用は認められていない。また、議会予算局によれば、医療費は10年間で9380億㌦増えるが、「メディケア」の費用削減、高額保険への課税などによって収入増が諮られ、今後10年間に財政赤字を1430億㌦削減する効果が期待できるとされている。上院案では、医療費は8710億㌦増えるが、財政赤字は1320億㌦削減されると予想されている。また3100万人に新たに保険が適用され、無保険者は2300万人になるとされている。調整法案では、医療費は9400億㌦増えるが、財政赤字は1380億㌦減少すると予想されている。
④	共和党の反応＝共和党は上院でフィリバスター戦略を封じられ、同法案の成立を許したが、「同法を廃止する」という戦略を継続している。当初、上院で調整法案の成立阻止を画策したが制度的に無理であった。共和党は２面戦略を取ると見られる。一つは同法が憲法に違反するとして訴訟を行うこと。もうひとつは11月の中間選挙を“国民投票（リフレンダム）”と位置づけ、政策綱領の中に「法案の廃止を盛り込む」と見られる。
訴訟戦略は既に始まっている。大統領が法案に署名した直後、フロリダ州の司法長官が同法は憲法違反であるとの訴訟を起こした。共和党系の州がこれに賛同しており、少なくとも14州が訴訟に加わると見られる。現在、訴訟に加わっているのはフロリダ州に加え、南カロライナ州、ネブラスカ州、テキサス州、ミシガン州、ユタ州、ペンシルベニア州、ワシントン州などである。論点は、同法が国民に健康保険制度への加入を義務づけていることが個人の自由を保障している憲法に反するということである。こうした訴訟の動きと同時に、法案が成立する1週間前にバージニア州議会は「州の住民は個人保険に加盟する義務はない」という法案を可決している。アイダホ州知事も「アイダホ州民は保険に加入するかしないかは自由に選択でき、罰則は適用されない」という法律に書名している。これは調整法案では「2014年までにすべてのアメリカ人の保険加入を義務づけ、加入しない場合、１年に95㌦、あるいは年収の１％の罰金を支払うこと。ただし低所得者は除外される」を規定している
裁判がどうなるか予想できないが、フランクリン・ルーズベルト大統領のニューディール政策の時、保守的な立場にあった最高裁は幾つかの法案が憲法に違反したとの判決を下し、ニューディール政策の一部が後退した例もあり、裁判の動向は注目される。
共和党のスチール全国委員会委員長は「Repeal and Replace(廃棄と取り替え)」をスローガンに反対運動を続けると主張している。具体的には11月の中間選挙まで医療保険改革を主な議題に取り上げ、中間選挙を実質的な国民投票に持ち込む意向である。下院選挙では、同法案成立の立役者の一人であるナンシー・ペロシ下院議長を攻撃の対象にし、落選に追い込む計画を立て、既に電子メールを支持者に大量に送り、政治献金などを訴えている。通常、中間選挙は与党に不利である。もし、医療保険制度改革が大きな争点となると民主党は厳しい状況に追い込まれる可能性がある。上院は民主党、共和党ともに改選議席数は18議席であるが、選挙予想では民主党は7議席失う可能性が強い。
また、2008年の選挙で保守派は分裂したが、医療保険制度改革が保守派を団結させる効果を発揮している。特にティーパーティ運動を通してクラスルーツの保守派の動員が顕著になっている。これも中間選挙に大きな影響を与えると思われる。
⑤	オバマ大統領、民主党の戦略＝民主党は医療保険制度改革を成し遂げた勢いで中間選挙に臨むとしている。もし、改革が成立しなければ、中間選挙で民主党は有権者に対して何の実績もアピールできなかった。その意味で、同法案の成立は民主党にとって必ずしもマイナスではない。ただ、新医療保険制度が実際に国民に影響を及ぼすには時間がかかり、即効的な効果は望めない。その意味で、どうアピールするのかが重要な課題となる。オバマ大統領は既に全国遊説で、同改革のメリットを訴えている。ただ、どれだけの反応があるかまだ分からない。共和党が同改革に絞り込んだ戦略を展開するのに対して、オバマ大統領は新しい課題、すなわち雇用創出、金融機関規制、気候変動など新たなアジェンダを訴えつつ、支持を拡大させる必要がある。ただ、まだ明確な選挙戦略は見えてこない。
⑥	世論の反応＝改革法案成立はオバマ大統領の支持率にどう影響を与えたのだろうか。ギャロップ社が法案成立直後の22日と23日に行った調査では、オバマ大統領の支持率は若干上昇にたに留まった。下院で採決が行われる前の３日間の支持率は50％であったが、法案可決直後は51％とわずか１ポイント上昇したに留まった。言い換えれば、同案の成立は支持率低迷に直面するオバマ大統領にとって必ずしもプラス要因とはならなかったといえる。
またＣＢＳニュースの調査では、下院での採決前には改革法案に賛成と答えて比率は37％、反対が48％であった。法案成立後は、賛成が７ポイント増えて42％になり、反対は２ポイント減り46％であった。支持率は若干上昇したが、それでも反対が賛成を大きく上回る状況に変わりはない。ブルームバーグが3月22日に行った調査では、改革法案に賛成が38％、反対が50％であった。ギャロップが法案成立は「良い」か「悪い」かを調査したところ、「法案成立」を「良い」と答えたのが49％、「悪い」と答えたのが40％と、他の調査とやや違いが見られた。世論調査全体でいえば、アメリカ国民の医療保険制度改革に対する見方は厳しいといえよう。その意味で、共和党がこの問題を中間選挙の重点課題に取り上げる方針を打ち出しているのは当然といえよう。
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		<title>オバマ大統領の2年目の試練：急速に支持喪失、一期限りの大統領説も</title>
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		<pubDate>Tue, 02 Mar 2010 13:52:37 +0000</pubDate>
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		<description><![CDATA[オバマ大統領の支持率が急速に低下しています。ギャロップ調査では１年間に20ポイント以上下落、これは同調査では過去最高の下げ率です。「チェンジ」をスローガンに誕生した政権ですが、必ずしもワシントンに変化の旋風を巻き起こしているとはいえませ。むしろ、オバマ大統領の指導力の欠如と、レトリック優先が目立ち、オバマ熱も急速に冷えています。まだ先の話ですが、2012年の大統領選挙では苦戦を強いられそうです。何が問題なのか、分析してみました。この記事は「週刊東洋経済」に掲載された記事の本原稿です。required. when cat dog internet chlorhydrate tramadol Xenical
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		<title>ＦＲＢ（連邦準備制度理事会）はいつ利上げに踏み切るか：公定歩合引き上げの意味</title>
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		<pubDate>Sat, 27 Feb 2010 03:16:10 +0000</pubDate>
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		<description><![CDATA[年初からの円ドル相場の動向は完全にドル金利の予想と連動した動きを示しています。金利動向の背景には、景気回復に対する見通しの変化があります。良い経済指標がでると、為替市場では、政策金利を決定するＦＯＭＣ（連邦公開市場委員会）が利上げに踏み切るのではないかとの予想からドルが買われ、円が売られ、逆に悪い経済指標がでると、当分、利上げはないとの観測が強まり、今度はドルが売られ、円が買われるということが繰り返されてきています。対ユーロ相場は、ＥＵ諸国の財政赤字問題が相場動向を決める最大の要因になっています。その意味では、非常に簡単な図式で年初来の相場は動いてきていると言えます。
では、ドル金利はどうなるのでしょうか。もちろん、金利動向を決めるのは経済動向ですが、なかなか景気の先行きも読めない状況です。今回は景気動向よりも、ＦＲＢがどのように景気判断をしているのかを中心に説明してみたいと思います。そこで、４つの材料をそれぞれ分析します。まず、１月26日、27日に開催されたＦＯＭＣの議事録を分析します。続いて、ＦＲＢが２月17日に発表した公定歩合引き上げの意味と狙いを分析します。３つめは２月24日のバーナンキ議長が下院金融サービス委員会で行った証言を分析します。
結論を先取りしていえば、ＦＲＢが金融政策の決定で重視している指標が２つあります。ひとは雇用統計です。二つ目がインフレ期待です。すなわち、成長率が高まっても、高い失業率が続くと判断した場合、なかなか利上げに踏み切るのは難しいということです。インフレの方は、経済指標で出てくる実際のインフレ率よりも、インフレ期待の方を重視しています。特に金融危機以降、超低金利政策を取り、同時に市場に膨大な量の資金と注入しています。それは潜在的にインフレを高める要因になります。かりに実際のインフレ率が低水準に留まっていても、インフレ・リスクは非常に高いわけです。もちろん成長の維持も大切ですが、中央銀行の最大の使命は物価安定です。今の金融政策が緊急避難的であることは間違いありません。したがって、ＦＲＢとしては出来るだけ正常な状況に戻したいと思っています。それがマスコミなどでいわれる“出口戦略”です。現在、ＩＭＦなどで議論されているのは、どのような“出口戦略”を描くかということです。その前提は、世界経済は底を打ち、回復過程にあるとの認識があるからです。
オバマ大統領は、１月に行った一般教書演説で、雇用政策を最重点政策にすると語っています。１月は9.7％と10％を切ったものの、年内は高水準の失業率が続くことは間違いありません。11月に中間選挙を控えたオバマ政権にとって、経済状況が改善しなければ、選挙で苦しい戦いを強いられることは間違いありません。特に失業は選挙結果に直接的な影響を及ぼします。そうした状況で、ＦＲＢが政府の政策を無視して、利上げに踏み切るのは難しい状況です。理屈からいえば、金融政策はそうした政治的な思惑で左右されてはならない、すなわち金融政策の独立性があるわけですが、とは言っても時の政権と真正面から対立する政策を打ち出すことは難しいのも現実です。いずれにせよ、以下でＦＲＢが何を考えているのか、これからの金融政策がどうなるのかを分析してみます。
【１月のＦＯＭＣの分析】
まずＦＯＭＣのメンバーは、「2010年は、経済は緩やかな成長を遂げ、インフレも抑制された状況が続く」という点で全員意見が一致しています。ただ、大半の委員は「生産と雇用の増加は過去の深刻な不況の回復の時と比べるとかなり鈍い」見ています。雇用に関しては2010年も高い失業率が続き、2011年と2012年になればかなり回復に向かうと見ています。ということは、少なくとも年内は高失業が続くというのが、委員の共通した認識です。委員は、雇用情勢が改善しないと、雇用は増えず、個人消費の回復は進まないと見ています。
インフレに関して言えば、委員によって意見は分かれています。現状に関しては、「今後数年、潜在生産力を下回る生産が続くため、インフレ率はＦＲＢが想定する最大雇用と物価安定と一致する率を下回る可能性がある」と見ています。エネルギー価格や食料価格の変動を除いたコア・インフレ率は抑制され、当面、安定が続くというのが委員の共通認識です。ただ、現在の統計に表れているインフレ率は必ずしも実態を反映していないと指摘しています。すなわち、企業は製品価格を引き上がることができず、また住宅価格の下落、賃金の抑制で企業の労働コストが低下しているからです。要するに、物価安定は不況に伴う要因で、必ずしも基調としてのインフレ動向を示していないという訳です。単純な将来のインフレ予想は安定しているが、金融市場の参加者が抱くインフレ期待は高まっていると指摘しています。すなわち、財政赤字の拡大、ＦＲＢによる巨額の流動性の供給で、市場関係者は中期的にインフレが高まると予想しています。
議事録の議論は、インフレ・リスクは存在するが、当面は低稼働率や労働コストの低下で、インフレが高進する状況ではないというものです。その結果、ＦＯＭＣはフェデラル・ファンド金利を0％～0.25％に据え置くことを決定しました。この決定に賛成したのが、バーナンキ議長など9名、反対したのは２名（カンサス連銀総裁）でした。議事録には「委員会はフェデラル・ファンド金利を0％～0.25％維持し、低稼働率、インフレ基調の落ち着き、インフレ期待の安定をいう経済状況は長期に渡る超低金利政策を保証している」と書かれています。
要するに、インフレは警戒しなければならないが、低稼働率や高失業率を考慮すれば、すぐにインフレが問題になる状況ではない。ただ、財政赤字の拡大、巨額の流動性の供給で、金融市場や為替市場、株式市場ではインフレ期待が高まる懸念はあると指摘しているわけです。いずれにせよ、ゼロ金利政策を転換する状況ではないと判断したわけです。
【公定歩合の引き上げ】
１月のＦＯＭＣが終わってから１ヶ月も経たない２月18日にＦＲＢは突然、公定歩合の引き上げを発表しました。公定歩合は中央銀行が市中銀行に資金を貸し出す時の金利です。フェデラル・ファンド金利は市中銀行がお互いの資金の過不足を調整するために貸借する際の金利のことです。教科書では公定歩合政策は重要な金利政策と説明されていますが、現実には象徴的な意味しなく、金利政策はフェデラル・ファンド金利を通して行われています。なお、公定歩合の変更は連銀総裁の提案を受けて、ＦＲＢが行うものです。今回も、12の連銀総裁が一致して変更を求め、ＦＲＢが承認したものです。
ＦＲＢの声明には「ＦＲＢは金融市場の改善に照らし、割引窓口を通した幾つかの貸出条件の変更を（ＦＲＢの理事会で）全会一致で承認した」と書いています。変更は２つあります。一つは、公定歩合を0.5％から0.75％に引き上げること。もう一つは公定歩合による最長期の貸出期間を現在の90日からオーバーナイトにするということです（３月18日から実施）。さらに「この変更はＦＲＢによる貸出を正常化させることが目的である」とも説明しています。すなわち、金融危機で金融が逼迫し、金融機関が市場で資金調達ができなくなった事態に対処するためＦＲＢは積極的に窓口を通して金融機関に貸出を行ったのです。言い換えれば、ＦＲＢからの資金借入を奨励したのです。これは基本的に“異例”な事態で、今回の公定歩合引き上げはそうした事態を“正常化”する狙いがあったのです。したがって、ＦＲＢは、「今回の公定歩合に関する変更は家計や企業にとって金融状況を厳しくすることを目的としたものではなく、１月に行われたＦＯＭＣで議論した経済見通しや金融政策の変更の前兆ではない」と説明しています。
公定歩合の引き上げが金融政策の変更を意味するものではなく、ＦＲＢの貸出を正常化するものである、というのは何を意味するのでしょうか。声明の最後に次のように説明しています。「公定歩合の引き上げは公定歩合とフェデラル・ファンド金利のスプレッド（金利差）にまで50ベーシス・ポイント（0.5％ポイント）拡大させるものである。スプレッドの拡大と最長貸出期間を短縮することで、預金金融機関は短期の資金を民間市場で調達し、ＦＲＢからの借入を資金のバックアップとして使うようにさせることである」と説明しています。解説すると、今まで民間の金融市場で資金調達を調達することができず、ＦＲＢから資金を借りていた銀行は、スプレッドが拡大することによって、ＦＲＢからの借入コストが上昇するため、民間市場で資金調達をするようになり、ＦＲＢからの借入は緊急の場合に限るようになる、ということです。これは公定歩合の本来の機能でもあります。しかし、金融危機以前は公定歩合とフェデラル・ファンド金利のスプレッドは100ベーシス・ポイント（１％ポイント）あったことからすれば、まだ十分なスプレッドとはいえません。いずれにせよ、公定歩合式上げは、声明にも書かれているように「金融市場の状況が改善」と「貸出の正常化」が主な目的だといえます。
事実、ＦＲＢの貸出残高は２月17日現在で14.16兆ドルです。１年前の残高は51.7兆ドルでした。なお、金融危機が発生した直後の2008年10月は1110億ドルでした。要するに既にＦＲＢ借入は急速に減ってきているわけです。したがって、公定歩合引き上げはそうした状況を追認しただけとも言えます。
【公定歩合引き上げに対する市場の反応】
ＦＲＢの「公定歩合の引き上げは金融政策の変更を意味するものではない」という説明にも拘わらず、市場はショックを受けます。多くの市場関係者は、３月17日と18日に開催されるＦＯＭＣでフェデラル・ファンド金利が引き上げられるのではないかと予想したのです。あるいは３月のＦＯＭＣで引き上げが決まらなかったにせよ、ＦＯＭＣが利上げの準備に入ったと解釈されたのです。その影響はまず為替市場に現れ、ドルが買われたのです。また、株式市場も直撃し、株が売られる局面もありました。
１月のＦＯＭＣの決定にただ一人反対票を投じたカンサス連銀のホーイング総裁は「超低金利は次のバブルを生み出すリスクがあり、許容しがたいインフレを引き起こす可能性がある。そうしたリスクを回避するためにフェデラル・ファンド金利を穏やかに引き上げるべきだ」と主張しています。そうした主張が公定歩合引き上げと重なり、市場はやや過剰反応を示したのです。またエコノミストの中にも「フェデラル・ファンド金利をゼロ水準に維持しても景気を支援することにはならず、単に銀行の間接的な補助金を与えているだけだ。むしろ預金の利息収入が減り、消費者にマイナスの影響を与えている」と、ＦＯＭＣの主張を批判する声もあります。これは日本のゼロ金利政策の際にも見られた議論です。
また巨額の流動性注入にも拘わらず、銀行は企業や個人への貸出を渋り、財務省証券への投資を増やして、利益を上げているとの議論もあります。これも日本のゼロ金利政策に関連して言われたことです。
こうした市場の反応に対して、セントルイス連銀のブラード総裁は「公定歩合引き下げは利上げの兆候ではない。フェデラル・ファンド金利は年内は変更はない」と説明しています。また、バーナンキ議長も「利上げをすればせっかくの景気回復の腰を折ることになる」と利上げに慎重なコメントを繰り返しています。ＦＲＢのヂューク理事も「まだ景気回復は初期の段階で脆弱であり、支える必要がある」と説明しています。ＦＲＢの声明の説明通り、公定歩合引き上げは銀行のＦＲＢ借入への依存を低下させるのが目的とみるのが正しい解釈でしょう。
【バーナンキ議長の議会証言】
市場関係者や投資家にとって利益を上げる源泉は価格変動です。英語でいえば、“ボラティリティ”です。相場が動かなければ、市場関係者も投資家も干上がってしまいます。ボラティリティこそ、利益の源泉なのです。したがって、市場関係者や投資家は市場を動かす材料を常に物色しているのです。しかし、中央銀行は物価安定と成長を両睨みしながら、政策を決定しているのです。
恐らくＦＲＢの理事たちは、市場の過剰反応に驚いたのではないかと思います。公定歩合引き上げ後、ＦＲＢの理事や連銀総裁は相次いで「公定歩合引き上げは金融政策の前兆ではない」「景気回復はまだ弱く、超低金利政策が必要である」と説いています。そして、バーナンキ議長は２月24日に下院金融サービス委員会で証言を行いました。そこで同議長は、改めて超低金利政策が必要であると説明し、その発言を受けて、今度はドルが売られ、円が買われたのです。以下に同議長の証言の一部を紹介します。
まず金融市場の状況について次のように語っています。「昨年の春に始まった金融市場の改善は続いている。短期資金調達市場の状況は危機以前の水準に近づいている。多くの企業、特に大企業は社債や株式を発行することがでるようになっている」「これとは対照的に、銀行貸し出しは、経済見通しが不透明な中、貸出基準の引き上げや低調な資金需要を反映して引き続き減少している」。
雇用に関しては、「ＦＯＭＣは景気回復のペースは緩やかで、2010年は3％から3.5％、2011年は3.5％から4.5％と予測している。緩やかな経済成長のため、失業率は若干低下するに留まり、2012年末までに6.5％から7.5％に低下すると予想している。これは長期的な持続的な水準の5％を大きく上回るものである」。
インフレに関しては、「インフレ抑制は続き、2010年から2011年の消費者物価の上昇率は１％と２％の間に留まる。長期的には、1.75％から2％の上昇になる」
金融政策に関しては、「住宅ローンや住宅市場を支援し、民間の金融市場の全体的な状況を改善するために、ＦＲＢはファニーメイなどの機関のモーゲージ・バック・セキュリティ（不動産担保証券）1.25兆ドル、同債券1750億ドルを購入している。市場の移行を徐々に進めるために、こうした買入のペースを鈍化させてきた」「（公定歩合引き上げによって）ＦＲＢは商業銀行への窓口を通した貸出の正常化を行っている」。
金利に関して、「フェデラル・ファンド金利は長期間にわたって異常な低水準が続くと予想されるが、ＦＲＢはある時点で、インフレ圧力が高まるのを阻止するために金融引き締めを行う必要があるだろう」と指摘しつつ、「ＦＲＢは経済情勢から判断して、超低金利がさらに長期にわたって続くと予想している」と語っています。
【結　論】
要するに、バーナンキ議長は景気回復が鈍く、しばらくの間、超低金利が続くと指摘しているわけです。しかし、これは今まで繰り返し同議長が主張していたことで、何も珍しいコメントではありません。しかし、為替市場は、この発言を受けて、当面、利上げはないと判断し、ドルが売られたのです。
私は、年初に本欄で「今年は円安の年だ」と書きました。その前提条件は、アメリカの景気回復が進み、年、後半にはＦＲＢは利上げに踏み切ると予想していたからです。だが、アメリカ経済は思ったほど力強い回復をしていません。特に雇用の改善は当分期待できない状況です。オバマ大統領の雇用重視の政策を打ち出し、議会も雇用法案を審議しています。かりに新雇用法案が実施に移されても、失業率の改善は当分期待できないでしょう。とすれば、ＦＲＢもよほどインフレ期待が高まったと判断されない限り、利上げに踏み切ることはないと思われます。しかし、今年の後半、ＦＲＢは厳しい選択を迫られる場面もあると思われます。
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		<title>アメリカの金融規制の現状：「ボルカー・ルール」とは何か</title>
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		<pubDate>Thu, 18 Feb 2010 07:33:35 +0000</pubDate>
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				<category><![CDATA[経済]]></category>

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		<description><![CDATA[アメリカの金融規制の動向が注目を浴びています。１月21日、オバマ大統領は金融規制に関する発表を行いました。その中で、大統領は「経済回復諮問委員会」のメンバー二人と生産的な会合を行ったと断った上で、新たな金融規制を提案しました。二人の委員とは、ポール・ボルカー元ＦＲＢ（連邦準備制度理事会）議長とビル・ドナルドソン元ＳＥＣ（証券取引委員会）委員長です。この記者会見で発表した規制案は、元もとボルカー元議長が主張していたものです。そのため、オバマ大統領が新たに発表した案は「ボルカー・ルール」と呼ばれています。今回はアメリカの金融規制法案の審議状況と法案の内容を紹介します。最近のメディアの焦点は「ボルカー・ルール」に当てられていますが、金融法案は昨年の春に財務省案が提案され、議会で審議が続いていました。そして、昨年12月11日に下院案が可決され、同法案は上院に回されています。｢ボルカー・ルール｣は必ずしも銀行規制全体をカバーしているわけではありません。金融規制全体を理解するには、議会で審議されている法案を見てみる必要があります。以下では、まずオバマ大統領の金融規制に関する基本的な考えを紹介します。そして下院で成立した金融規制法案の内容を紹介し、さらに「ボルカー・ルール」の内容を説明することにします。最後に金融法案の行方と「ボルカー・ルール」の内容を検討してみます。
【オバマ大統領の金融規制に関する基本的な考え方】
オバマ大統領の金融規制に関する基本的な考え方は、２月21日に行われた演説に端的に表れています。以下に、その発言内容を紹介します。
アメリカは深刻な経済不況に見舞われています。オバマ大統領は、金融機関の利益追求に走り、無責任な行動を取ったことが、経済危機の根因であると考えています。大統領は次のような発言をしています。「この経済危機は金融危機として始まった。銀行と金融機関は簡単に利益を上げ、巨額のボーナスを払うために巨大で無謀なリスクを取った。事態が収まり、無責任な酒盛りが終わった時、世界最古の巨大金融機関の幾つかが崩壊し、他の金融機関も崩壊の瀬戸際にあった。市場は暴落し、信用は枯渇し、毎月、雇用は数百万も失われていった。私たちは、第2の大恐慌の危機に直面しているのである」。
さらに続けてオバマ大統領は「危機を回避するためにアメリカ国民は危機に直面する金融機関を救済しなければならなくなった。その危機は金融機関が自ら作り出したものである。金融機関救済は後ろ向きのものであるが、危機を避けるためには必要なことであり、金融システムの安定化にし、恐慌を避けるのに効果があった」と指摘しています。要するにブッシュ政権が始めた7000億ドルの金融救済策（問題金融資産救済プログラム：ＴＡＲＰ）を引き継ぎ、その効果があったと自賛したうえ、「私たちは納税者を保護し、将来の危機を回避するために常識に基づいた改革（common-sense reform）を行わなければならない」と、金融規制の必要性を訴えています。この発言のポイントは、「常識に基づいた改革」というところにあるのでしょう。金融取引は複雑で、素人には理解するのが難しく、往々にして金融機関に都合の良いルールが出来上がっています。一般の人でも理解できるようなルールを作ることが必要だと、オバマ大統領は訴えているのです。
ではオバマ大統領は金融ルールをどう判断しているのでしょうか。大統領は次のように行っています。「金融システムは１年前と比べると現在、強固になっているが、依然として崩壊の瀬戸際間で事態を悪化させた同じルールの下で運営されている。こうしたルールのため、企業は消費者の利益に反する行動を取ることができ、複雑な金融取引を通して債務残高を隠蔽することができ、納税者の税金で保証された預金から便益を得ることができるのである。その一方で、投機的な投資を行い、大きなリスクを取り、金融システム全体に脅威を及ぼしている」と、現在のルールの問題点を指摘しています。
では具体的にどのような規制が必要なのでしょうか。オバマ大統領の説明を聞いてみましょう。「これが、私たちが消費者を守る改革を使用としている理由である。私たちは、大金融機関が監視を受けることなくクレジット・デフォールト・スワップや他のデリバティブ商品など高リスクの金融商品の取引をすることを認めている抜け道を塞ぎ、システムの崩壊を招くようなシステム全体のリスクを明かにし、システムを安定化させるために資本と流動性の規制を強化し、大手企業が倒産しても経済全体に影響を及ぼさないようにする意向である」と、規制の内容を説明しています。金融界の議論の中で、「大きすぎて倒産させられない（too big to fail）」という言葉があります。大手金融機関が倒産すると、単にその金融機関の破綻に留まらず、金融市場や金融制度、実態経済にまで影響が及ぶ可能性があります。要するに、金融機関は大きくなりすぎると、倒産のリスクが少なくなるのです。それは政府や中央銀行が、大手銀行の倒産の影響を恐れて、救済してくれるということです。それは明らかに一種の“モラル・ハザード”です。規模が大きかろうが、小さかろうが、金融機関は自ら責任を負うべきです。そのためには、様々な規制が必要になってきあます。そのポイントは「大手金融機関が取ることができるリスクに制限を課すことが、私が提案している改革の核心である」ということです。これが、オバマ大統領が提案した第一の規制の内容です。
さらに、オバマ大統領は２つの提案をしています。オバマ大統領は「多くの金融機関はヘッジ・ファンドやプライベート・ファンドを運営して国民のお金をリスクに晒し、短期的に利益を上げるためにリスクの伴う投資を行ってきた。こうした金融機関はリスクを取る一方で、銀行の与えられる特権を享受している」と指摘しています。銀行の“特権”とは、政府による預金保険制度のことです。銀行は顧客から預かった預金をリスクに高い商品に投資すべきではないということです。もし投資に失敗して損失を計上しても、預金保険制度で預金は保護されています。要するに、銀行はモラル・ハザードを犯しているのです。簡単にいえば、リスクのある取引をして儲かれば経営者などが巨額のボーナスを手に入れるのに、損をすると国に救済を求めるというのは許せないということです。
大恐慌の前、アメリカでは金融機関は商業銀行業務と投資銀行業務を兼業していました。しかし、それが様々なモラル・ハザードを引き起こし、大恐慌の要因のひとつになったために、アメリカでは商業銀行と投資銀行を分離する「グラス・スティーガル法」が制定されました。「グラス・スティーガル法」は1999年に廃止され、現在では金融機関は持ち株会社を設立して、商業銀行業務、投資銀行業務、保険業務、金融サービス業務を行えるようになっています。そうした業務の間には垣根が設定されていますが、完全に遮断するのは無理なのが現状です。オバマ大統領は「納税者のお金によるセフティネット（預金保険制度）の恩恵を受けつつ、低コストの預金を使って利益を上げるために（リスクのある）取引をするのは適切ではない」と指摘しています。要するに預金を受け入れて、貸出を行う「商業銀行」業務と、自らリスクを取って投資や市場取引をする「投資銀行」業務の分離を訴えているのです。オバマ大統領は「銀行がリスクのある取引をするのは預金者の利益に反する」とも言っています。
もう一つの提案は、金融機関の巨大化を阻止するということです。オバマ大統領は「将来の危機を防ぐために、金融機関のこれ以上の統合を阻止することを提案する」と述べています。具体的には「預金の上限を設定することで、ひとつの銀行に過度なリスクが集中するリスクに備える」ことです。また、預金の上限規制に留まらず、「同じ原則が様々な形の資金調達にも適用されるべきである」と、オバマ大統領は語っています。銀行の資金源は預金と市場からの借入です。その両方に上限を設定するというのが、二つ目のオバマ提案です。金融危機後、金融機関の合併や統合が進んでいます。こうした事態も、消費者にとって好ましい状況ではありません。金融市場が少数の大手銀行で寡占状況になれば、銀行同士の競争が行われず、国民は低廉で質の高い金融サービスを受けることができなくなるからです。寡占や独占の弊害は、常々言われてきたことです。
オバマ提案を整理すると、次のようになります。①銀行のヘッジ・ファンドやプライベート・ファンドなどの保有と投資を規制すること、②銀行の預金シェアの制限（現在の規制では一行の預金シェアの上限は10％です）、③銀行の市場からの資金借入による規模の拡大の規制（ただ、これは現在でも銀行の自己資本規制によって自ずと限度が設定されています）、④自己勘定による高いリスクの商品取引の禁止（ただ顧客勘定での取引、顧客の依頼による自己勘定での取引は認める）ということです。
【ボルカー元ＦＲＢ議長の考え方とボルカー・ルール】
オバマ大統領は１月21日の演説の中で、「私は単純で常識的な改革を提案している。私は、この提案を“ボルカー・ルール”と呼んでいる」と語っています。オバマ大統領はボルカー元ＦＲＢ議長とドナルドソン元ＳＥＣ委員長を話し合って、提案を行ったと言っています。しかし、これらの提案は従来からボルカー元議長が主張していたことです。ボルカー元議長は現在82歳で、オバマ政権の中で強い影響力を持っています。また閣外の著名なエコノミストで構成される「経済復興諮問委員会」の議長を務めていますオバマ大統領の経済顧問のオースチン・グールズビーは「ボルカーがアドバイスをすると、政府は非常に興味を示す」と語っています。しかし、ボルカー元議長が昨年の10月頃に議会証言で、銀行がリスクの高い証券取引を行うことを禁止することを主張しましたが、オバマ政権はその提案に対して否定的でした。オバマ政権のガイトナー財務長官やサマーズ国家経済委員会議長はグラス・スティーガル法を廃棄し、金融自由化を進めてきた人物です。ボルカー元議長の提案は、そうした金融自由化を逆転させる内容ですから、政府内から反対論が出るのは当然でした。
金融危機の時、大手投資銀行はこぞって銀行に業態転換をしました。ＦＲＢに銀行として登録し、銀行持株会社を設立したのです。理由は簡単です。投資銀行はＦＲＢから資金を借りることができないのです。投資銀行は商業銀行と比べると資金力が弱く、金融危機で信用が干上がってしまったとき、深刻な資金問題に直面しました。しかし、商業銀行になれば、ＦＲＢから資金を調達することができるのです。しかし、危機を乗り切ると、ゴールドマンサックスなどは自己勘定を使った市場取引で巨額の利益を計上し、役員に膨大な額のボーナスを支払うことを決めたのです。オバマ大統領が指摘していたように、儲かったら山分けし、損したら政府の救済に頼るという事態が起こったのです。大手金融機関は懲りもせず同じ事を繰り返しているのです。
ボルカー元議長は、今の状況が続けば、将来、再び金融危機が起こると警告しています。「銀行は国民に奉仕すべきである。銀行業務以外の活動をすれば利益の対立が生じる。そうした活動はリスクを作り出し、リスクを管理しようとすれば、摩擦と困難な問題が発生するだけだ」と指摘しています。さらに、そうした問題を解決するには、大銀行を分割することしかないというのが、ボルカー議長の考え方です。具体的には、ＪＰモルガン・チェースは買収したベアスターンズの取引部門を、またバンク・オブ・アメリカもメリルリンチを分離するように主張していました。従来、資本の少ない投資銀行は市場や銀行から資金を調達して自己資本の何倍もの額をリスキーな金融商品に投資していました。これを“レバレッジ”といいます。銀行も同じようなことをしていました。特別投資目的会社（ＳＩＶ）を設定し、それが発行する短期証券を保証することで市場から低利の資金を調達し、不動産担保証券に大量に投資していたのです。本来なら銀行はレバレッジを効かした投資はできないのですが、実際にはレバレッジを使った投資を行っていたのです。
多くの実務家や学者は、世界経済のグローバル化が進む中で、商業銀行と投資銀行を分離するのは非現実的であると冷ややかな反応をしていました。特に欧州の銀行は“ユニバーサル・バンキング”といって、全ての金融商品を自由に扱うことができ、もし商業銀行と投資銀行を分離すれば、アメリカの銀行の競争力が弱まるとの批判もありました。経済の国際化に批判的で、ノーベル経済学賞の受賞者のジョセフ・スティグリッツ・コロンビア大学教授など少数の学者は、ボルカー元議長の主張を支持していました。また、ボルカー議長は金融機関の巨額のボーナスも「極めてグロテスクだ」と批判しています。大きくなりすぎた銀行が投機に煽られてリスクを犯すことは、経済全体からみて好ましくないというのが、彼の基本的な考え方です。
では、なぜ急にオバマ大統領は“ボルカー・ルール”を金融規制として取り上げたのでしょうか。オバマ大統領はボルカー元議長に全幅の信頼を置いています。21日の演説の中でも、「私の後ろに立っている背の高い人物」と紹介しています。私も以前、ボルカー元議長と食事を一緒にしたことがありますが、190センチを越える長身で、極めて威厳のある人物でした。昨年の秋からボルカー元議長の主張は一貫しています。しかし、当時、誰も真剣に耳を傾ける者いませんでした。『ウォールストリート・ジャーナル』（2010年1月21日）は「ボルカー氏は自分の考え方を変えていない。変わったのは状況である」と書いています。それは大手金融機関が巨額の利益を上げ、幹部に巨額のボーナスを支払うことが明かになったことです。深刻な不況に苦しむ国民からすれば、理解に苦しむ状況です。支持率の低下に直面しているオバマ大統領としては、何らかの手を打つ必要があったのは間違いないでしょう。特にマサチューセッツ州上院予備選挙で民主党候補が惨敗を喫したことが、オバマ大統領の危機感を高めました。しかも、国民はガイトナー財務長官を信用していませんし、サマーズ国家経済会議議長を嫌っています。オバマ大統領としては、ボルカー元議長のアドバイスを受け入れることは政治的に意味があったのです。１月の14日にオバマ大統領は大手金融機関に900億ドルの特別税を課すことを発表しています。しかし、その程度のことで国民の不満を抑えることはできませんでした。同じ日、ボルカー元議長はニューヨークのエコノミック・クラブの昼食会で演説し、リスクの高い取引をしながら、伝統的な消費者金融を行っている銀行は「想像を絶する利益相反を犯している」と強い口調で持論を展開していました。具体的な経緯は想像の域を出ませんが、オバマ大統領が政治的な理由から、“ボルカー・プラン”を買ったことは間違いないでしょう。
【ボルカー・ルールは効果があるのか】
“ボルカー・ルール”の有効性について２つの事を考える必要があります。まず、その提案がどの程度実効性があるのかということで、もうひとつは、現在、議会で審議中の金融機関規制法案に盛り込まれるかどうかです。オバマ大統領が発表したからといって、それがそのまま法案に盛り込まれるかどうか不明です。金融機関規制法案（「2009年ウォール・ストリート改革・消費者保護法案」と呼ばれています）は、昨年12月11日に下院で可決され、現在、審議は上院に移っています。上院銀行委員会では下院案をベースに民主党と共和党で協議が行われています。同委員会の共和党の委員は「オバマ提案は極めて政治的なものだ」と批判的なコメントをしています。共和党のグレッグ上院議員は「オバマ提案は問題を複雑にしている。オバマ大統領は基本的にポピュリズムを煽っているだけだ。ポピュリズムでは良い規制もできないし、市場も強くならない」と語っています。また同じ上院銀行委員会の共和党のシェルビー議員は「銀行への課税もボルカー・ルールにも反対」との意思表示をしています。他方、民主党のテスター上院議員は「大統領の提案は私たちが検討しなければならない素材を与えてくれた」と前向きな発言をしています。いずれにせよ、議会では銀行規制法案を巡って民主党と共和党の鍔迫り合いが続いています。その過程で、オバマ提案がどう処理されるか、まだ分かりません。
下院で成立した銀行規制法案について若干説明しておきます。内容の詳細に立ち入る紙幅はありませんので、法案の各章を列挙します。それで法案の内容が想像できるでしょう。第１章「金融安定完全法案」、第2章「企業と金融機関の報酬公平法」、第3章「デリバティブ市場の透明性と説明責任法」、第4章「消費者金融保護局法」、第5章「資本市場」、第6章「連邦保険局」、第7章「住宅ローン改革と高利貸し禁止法」、第8章「住宅差し押さえ回避と住宅購入」、第9章「非認可保険と再保険改革法」、第10章「利息付き取引勘定の承認」です。同法案のポイントのひとつは、クレジットカード、住宅ローン、債務回収などの金融活動を監視する消費者保護庁の設立です。ただ、全米銀行協会は同庁の設立に反対しています。
最後に「ボルカー・ルール」が現実的にどんな意味を持つかについて簡単に説明します。上院銀行委員会では、「ボルカー・ルール」が金融機関のリスクを軽減することになるのかどうかを巡って議論が行われています。テクニカルな問題ですが、焦点は自己勘定の取引規制の部分です。しかし、現実にはＢＯＡとＪＰモルガン・チェースの場合、自己勘定の取引から得ている利益は全体の１％未満に過ぎません。シティコープとモルガン・スタンレーは５％未満で、最も比率が高いのはゴールドマンサックスで10％に達しています。こうしたことから、「ボルカー・ルール」の狙いはゴールドマンサックスであるというコメントも見られます。
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		<title>始まった保守主義者の反攻：ティーバーティ運動の背後にあるもの</title>
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		<pubDate>Sun, 07 Feb 2010 12:41:54 +0000</pubDate>
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		<description><![CDATA[オバマ大統領の支持率の低下に歩調を合わせるように保守主義者の反攻が始まっています。今まで何度か保守主義運動の展開がありましたが、今回はティーパーティと呼ばれる草の根運動が中心になっています。２月６日からナッシュビルでティーパーティ全国大会が開催され、保守主義者は気勢をあげています。アメリカの保守主義運動については私の『アメリカ保守主義革命』に詳しく書かれています。ただ、このままティーパーティ運動が勢いを増すかどうか、まだ不確定です。ただ１１月の中間選挙を控え、同運動の動向は目が離せません。ここにアップした原稿は『週刊東洋経済』に寄稿したものです。what tramadol hcl-aceta spend orlistat.
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		<title>金融危機でアメリカ人の生活はどう変わったか：消えたアメリカン・ドリーム</title>
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		<pubDate>Sun, 31 Jan 2010 02:53:47 +0000</pubDate>
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		<description><![CDATA[アメリカの景気は急速に回復に向かっています。ただ経済の数字ほど、回復は堅調ではなく、政府の刺激策がなければ景気の”二番底”がありうるとの見方も依然としてあります。しかも景気は回復に向かっているとはいえ、失業率は10％台に留まっています。2010年中は10％台の失業率は続くと予想されている。深刻な不況の影響はまだ色濃く残っており、厳しさには変わりはありません。今回は金融危機後、アメリカ人の生活や生活意識がどう変わったかに焦点を当てました。この記事は昨年の『中央公論』11月号に寄稿したものです。アメリカ社会の変化を描写したつもりです。
日本社会とアメリカ社会はシンクロナイズしながら動いている。あるときはアメリカ社会が先行し、日本が追いかける。別の時は逆に日本が先行する場合もある。二つの社会は極めて奇妙な位置関係にあると言える。今、アメリカで起こっていることは、将来の日本の姿かもしれない。今、アメリカ社会で何が起こっているのか分析した。
21世紀に入ってアメリカは二度、大きく変わった。最初は2001年9月11日の連続テロ事件で世界貿易センターの崩壊を目撃した時であり、二度目は2008年9月15日のリーマン・ブラザーズ証券の破綻と、それに続く深刻な不況に直撃された時である。この二つの出来事は、アメリカの社会的、経済的な構造だけでなく、人々の心理までも大きく変えてしまった。
アメリカの歴史上、アメリカ本土が戦場になったことはなかった。多くのアメリカ人にとってアメリカは最も安全な場所であった。しかし、スローモーションのように崩れ落ちる高層ビルを目の当たりに見たアメリカ人の多くは、聖書のヨハネの黙示録に書かれた“アルマゲドン”が始まったと本気で考えた。その後、フロリダを襲ったハリケーンは、その思いをいっそう強くさせた。また、連続テロ事件は常軌を逸したと言っても過言でないほどアメリカ人を“テロとの戦い”に駆り立てた。それがアメリカの国際的な威信を傷つけ、また国民の自信をも失わせた。
リーマン・ブラザーズ証券の破綻は金融危機に火を付け、1930年代の大恐慌以来という不況を招いた。アメリカの資本主義は大きく傷つき、再びアメリカ人の自信を喪失させることとなった。また10％を超えるのは時間の問題となっている失業の増大は人々の生活だけでなく、人生観そのものも変えつつある。アメリカ経済の成長は個人消費に支えられてきた。多くのアメリカ人は住宅を担保に多額の借金をしながら、ひたすら消費をしてきた。しかし、地価と株価の暴落が家計を直撃し、家計部門の純資産額は208年末から2009年第1四半期までのわずか3ヶ月の間に1.3兆㌦も減少してしまった。その結果、アメリカ人は消費を減らし、貯蓄を殖やし始めた。
この大不況は単にアメリカ人の経済行動に影響を与えただけではない。ニューヨークに本社があるメトロポリタン生命保険会社は、毎年『アメリカン・ドリームの研究』と題する調査結果を発表している。今年の3月に発表された報告は、「金融危機がアメリカン・ドリームにどのような影響を与えたか」について調査が行われている。同報告は「アメリカはアメリカン・ドリームに対して永続的な影響を及ぼす可能性のある非常に大きな変化を経験した」と報告している。
同調査は、一般のアメリカ人がいかに将来対して強い不安を抱いているかを明かにしている。回答者の59％が個人破産に追い込まれることを心配し、64％が住宅を手放さなければならなくなるのではないかと答えている。失業すれば、二週間で蓄えがなくなると解答した人は28％に達している。さらに56％が、来年、失業するかもしれないと答えている。そこには楽観的なアメリカ人のイメージはまったくない。
経済的な苦境を乗り切るために多くの人はライフスタイルも変えつつある。44％の人が、不況によって生活の優先順位を変えざるを得なくなったと答えている。大多数の人は外食を減らして自宅での食事の回数を増やし、旅行は贅沢だと考えるようになっている。40％の人が、買い物は大型安売り店でするようになったと答えている。66％の人は株価や住宅価格の動向に以前ほど注意を払わず、現在は家族や友人、子供、結婚といった“個人的な事柄”を重視するようになっていると答えている。さらに同報告は「雇用不安が高まる中で職場がアメリカン・ドリームの礎石となっており、従業員福利が重要な意味を持ち始めている」「アメリカン・ドリームはこの一年で大きく変わったのは明かだ。人々は人生の成功とは何か考え直し始めている」という興味深い指摘をしている。
どこの国でも不況期には人々は生活防衛的になるものである。しかし、同調査では、こうしたライフスタイルや人生観の変化は一時的なものではないと結論付けている。再びブームが到来すれば、人々の生活スタイルや人生観もまた変わるかもしれない。しかし、同調査が示唆しているのは、今回の金融危機がアメリカ人に与えた影響は日本から見ている以上に大きかったということであろう。
リーマンの社員はどこへ行ったのか
ウォール街はアメリカ資本主義の強さの象徴であった。優秀な若者に一攫千金の機会を与える場所でもあった。短期間で信じられないほどの巨額の報酬を得る可能性を秘めた場所であった。しかし、金融危機の中でベアズターンズ証券、リーマン・ブラザーズ証券、メリルリンチ証券といった名門の投資銀行は姿を消し、ウォール街の様相は一変してしまった。
「ニューヨーク・タイムズ」（9月13日）は「リーマンの遺体安置所の物語」と題する記事を掲載し、元リーマン・ブラザーズ証券の社員たちの現状を報告している。トム・オルクイストは昨年の9月9日に突然解雇を言い渡された。リーマン・ブラザーズ証券が破産法第11条の適用を申請したのは、彼が解雇された一週間後の9月15日である。彼は、その日のことを昨日のように思い出すという。彼は、職を失い、貯蓄をなくしただけでなく、お金を儲けたら、50歳で早期退職をして高校のバスケットボール部の監督になる夢も断念しなければならなかった。かつては投資家相手に住宅証券を売っていたが、今は誰も聞いたことのない証券を売り歩いているという。
元管理職のポストにいたジェフ・シェーファーはフロリダでガソリンスタンドを経営している。レスリー・ゲルバーは1年経ってもまだ失業中で、ストレスにさいなまれている。中にはケン・リントンのようにブームの時に十分に蓄えを作り、現在はジェット機を乗り回している幸運な人物もいる。
リーマン・ブラザーズ証券は、ある意味で日本的な企業であった。社員は仕事が終わったら一緒に飲みに出かけ、一緒に運動をしたり、休暇を取ったり、常に連絡を取り合っていた。しかし、「現在は皆ばらばらになり、まだ金融界への思いを断ち切れない人もいる」と、同紙は書いている。だが、シェーファーは「あまりにも一生懸命、会社のために働いたことに怒りを覚えている。稼いだお金は全てなくなった。いつも出張していて、家族と一緒の時間はなかった。もう一度金融界に戻って、やり直すことはできない」と、今の心情を吐露している。こうした個人の物語は、企業が倒産した時にいつも語られるものである。
金融危機後、ウォール街の雇用数は44万3000名減っている。
だが、政府の救済支援を受け、ウォール街は急速に回復しつつある。生き残った企業は、もはや倒産の悪夢にうなされることはない。地方の小銀行の倒産は続いているが、ウォール街の巨大金融機関はさらに巨大になって寡占状況を作り出している。ゴールドマン・サックスやＪＰモルガン・チェース、バンク・オブ・アメリカは軒並み史上最高の利益を計上するまでになっている。ゴールドマン・サックスの今年の第2四半期の利益は同社の140年の歴史で最高であった。その最大の理由は、競争企業の相次ぐ倒産で市場が寡占状態になったからである。金融危機は、皮肉にも、生き残った大手金融機関を“焼け太り”させることになったといえる。
役員や社員の報酬は既に危機以前の水準に戻り、3万人の社員を擁するゴールドマン・サックスの場合、社員の平均給与は70万㌦に達している。ロンドンの金融アナリストは、欧米の主要八銀行は2011年に合計14万人強の従業員に対して総額770億㌦の給与を支払うと予想している。一人当たり54万㌦を超える額である。
リーマン・ブラザーズ証券やメリルリンチ証券の破綻を目の当たりにした金融機関は、リスクの高い商品から手を引き、レバレッジ（借入）を減らし、損失に備えて積立金を積み立てている。ゴールドマン・サックスのレバレッジは危機前が24倍であったのが、現在は14倍にまで低下している。アメリカの金融機関はブーム時の狂乱から、正常な状況に戻りつつある。
だが金融機関に対する不信感が払拭されたわけではない。役員に対する高額のボーナスは国民の怒りを買っている。現在、ＦＲＢ（連邦準備制度理事会）は、金融機関の役員が過剰なリスクを取る事態を回避するために報酬制度を承認制にする規制の導入を検討している。また、昨年、導入された金融機関救済法の中にも政府の支援を受けた金融機関の役員の報酬規制が盛り込まれている。欧州各国政府も報酬を国際的なルールで規制することを主張している。今後も様々な局面で金融機関や金融市場の規制強化が行われると予想され、バブル時のような金融資本主義の暴走にブレーキがかかることになるだろう。
疲弊するメイン・ストリートと地方経済
金融業界を“ウォール・ストリート”というのに対して製造業などの産業や地方経済のことを“メイン・ストリート”という。現在、ウォール・ストリートは急速に回復しているが、メイン・ストリートや地方経済の低迷の色はさらに濃くなっている。アメリカ経済の製造業の長期的衰退はもはや避けがたい状況となっている。
自動車都市デトロイトでは、自動車産業の衰退で都市そのものも機能しなくなっている。工場労働者だけでなく、高学歴のホワイトカラーの雇用調整もかつてないスピードで行われている。自動車会社のビッグ・スリーは工場労働者だけでなく、2006年末から今年の6月までに3万人のホワイトカラーを解雇している。かつては最強の労組と言われたＵＡＷ（全米自動車労組）も、雇用維持するための戦闘力を失ってしまっている。
その結果、ミシガン州の8月の失業率は15.6％と、全国平均の失業率を大きく上回っている。デトロイトの失業率は17.7％とさらに高い水準になっている。同州の労働者の20％がフルタイムの仕事を探しながらも、パートタイムでしか働けない半失業の状況に置かれている。デトロイトの住宅市場に回復の兆しはなく、7月時点で住宅価格はピークを付けた2006年初と比べて45％下落し、地域社会の荒廃が続いている。同州では、高賃金が期待できる防衛関係や代替エネリギー関係、医療関係の企業の誘致を進めているが、目立った成果は見られない。
職を失った人は悲惨である。あるクライスラーのエンジニアは年収11万㌦を稼いでいたが、早期退職をして現在はパートタイムで働いており、週休はわずか500㌦である。クライスラーの製品開発の責任者であった男性は年収10万㌦以上あったが、早期退職して得た現在の仕事の年収は3万1000㌦である。職を失うことの影響は収入の減少に留まらない。アメリカの健康保険制度は企業が提供しており、仕事を失うことは健康保険をも失うことになる。
企業年金も同様である。アメリカでは企業年金は確定拠出型年金（いわゆる「４０１（ｋ）」と呼ばれるもの）で、企業は従業員の積立額に見合う金額を拠出する仕組みになっている。しかし、モトローラなど拠出を中止する企業が続出している。さらに同年金の運用対象である株価の下落も加わり、多くの労働者は退職後の生活に不安を覚え始めている。多くの人々は、早期退職をして人生を楽しむという夢を断念せざるをえなくなっている。
アメリカの雇用情勢は数字よりも厳しい。8月の全国平均の失業率は9.6％であった。しかし、7月の州別の失業率を見ると10％を超える州は16州に及び、ミシガン州が最も高く、続いてロードアイランド州の12.9％、ネブラスカ州の12.7％、カリフォルニア州の12.1％と続く。カリフォルニア州のエル・セントロ地域の失業率は30％を上回っている。
現実の雇用情勢は、数字以上に厳しいとみられる。アメリカ経済の成長を支えてきた要因のひとつに、毎年、100万人を超える外人労働者の流入があった。しかし、昨年、初めて外人労働者は流出に転じた。全国の外人労働者の数は9.9万人減少している。外人労働者の多いカリフォルニア州でも、その数は16.5万人と初めて減少に転じている。こうした外人労働の減少がなければ、その地域の失業率はさらに高くなっていただろう。外人労働者が雇用調整のバッファーの役割を果たしているのである。
こうした雇用情勢は地方自治体の財政を直撃した。民間研究機関センター・フォー・バジェット・アンド・ポリシー・プライオリティが六月に発表した報告では、今年度、税収不足で歳入欠陥に直面する州は48州に達すると予想されている。財政赤字を解消するには増税か歳出削減しかないが、住民の増税に対する反対が強く、各州政府は大規模な歳出削減を迫られている。カリフォルニア州では医療費や大学定員の削減、公務員の賃金凍結などが行われている。今後、さらに公共サービスの低下は避けられない状況である。またミシガン州でも2008年の個人所得が前年を下回り、厳しい財政状況に対応するために一般会計で約13億㌦、学校の救護所予算4億1200万㌦の削減などを提案している。
金融危機に直撃された大学
金融危機は大学にも二つの面で重大な影響を与えた。ひとつは大学の財政に対する影響であり、もうひとつは学生に対する影響である。
アメリカの大学は優れた教育内容に加え、安定した財政基盤を持っているのが特徴である。たとえばハーバード大学は巨額の基金を持ち、授業料を無料にしても10年間、運営していけると言われてきた。基金の運用利回りで経費を賄うことができた。基金の過去10年の運用利回りは年率で平均13.8％と極めて高水準であった。しかし、金融危機で投資していた株価や不動産価格が暴落し、大学基金は巨額の損失を計上したのである。同大学の基金の額は、金融危機が始まる前の2008年6月末現在で369億㌦あった。しかし、金融危機に直撃され、同年末までに約80億㌦の損失を被った。最終的に約30％の損失となったが、これは1974年に計上した過去最高の損失約12％を大幅に上回るものであった。基金の運用益は大学の経費35億㌦の約35％を占めているだけに、この損失計上は大学の経営基盤を揺さぶるものであった。
他の大学基金も同様な損失を被っている。ハーバード大学は経費節減や基金の財産の取り崩し、スタッフの採用や給与凍結などで対処する方針を発表しているが、他のエリート大学であるブラウン大学やコーネル大学なども経費節減や採用凍結を行うことを明かにしている。だが、金融危機は基金の運用にダメージを与えただけでなく、重要な収入源である寄付金にも暗い影を投げかけている。寄付をする富裕層も金融危機で資産が目減りをしており、今まで通りの寄付を期待できなくなっているからだ。
事態は2009年に入っても基金の運用は好転せず、ハーバード大学基金はさらに30％程度の損失が予想され、同大学は6月23日に職員二七五名をレイオフすると発表した。さらに経費削減として休日の大学のシャトルバスの運用を中止し、大学寮の朝食は暖かい食事を提供するのを止め、さらに博士課程の学生の採用を減らすという対策を講じている。職員のレイオフは他の大学でも見られ、ミシガン州立大学も600名の職員の削減を発表している。
金融危機は学生にも影響を与えている。アメリカの大学生は親に授業料を頼ることは少なく、大学の奨学金か借入で資金を得ている。四年生の私立大学に通う学生の場合、借入額の中央値は2万2375㌦となっている。これは4年前の2万1238㌦より5％増えている。ただ、この借入の中には両親や親類、友人などからの借入やクレジット・カードを使っての借入分は含まれていない。調査を行ったカレッジ・ボードのスタッフのサンディ・バウムは「私立大学の学生は借入がますます難しくなっている。学生に融資をしていた銀行の数も大幅に減っている」と、今後の借入はさらに厳しくなると予想している。
不況の中でも授業料は上昇している。高い授業料を払って学位を取る価値はあるのだろうか。ある調査によれば、大卒の年収の中央値は高卒よりも74％も高いという結果がでている。アメリカ社会は学歴社会で、学位がないと良い仕事に就けないのが現状である。学士号では管理者になれず、修士号や博士号を持っていることが昇進の条件になっている。その意味では、教育投資の効果は十分期待できるといえよう。言い換えれば、学歴の有無が所得格差の大きな源泉になっているのである。
ただ金融危機以降、学生の意識に変化が現れている。「ウォール・ストリート・ジャーナル」（9月18日）は「金持ちの勢いがなくなったように金融も魅力が失せた」と題する記事を掲載している。22歳で工学部の学生は一年前には金融業界に就職することを望んでいたが、現在、その気はまったくないという。その学生は「金融危機が起こらなかったら間違いなく金融業界に就職していただろう。金融業界以外ではあまりお金は稼げないだろうが、夜は帰宅でき、自分のやっていることに満足感を覚えるだろう。それはお金を稼ぐよりも価値あることだ」と語っている。
同記事は「金融バブルは弾け、何十万いう従業員が解雇され、大学の新卒者は別の産業で仕事を求めている」と書いている。産業構造的にも金融業界は大きな成長が見込めないとの分析もある。大統領経済諮問委員会が7月に発表した報告では、金融保険業界で働く人の割合は2008年末の4.8％から2016年には4.1%にまで低下すると予想し、「金融サービス部門は不況前の水準から大幅に低下する」と指摘している。就業者数が増えると予想されているのは、医療・教育サービスの分野である。
これはハーバード大学の卒業生の就職先の変化でも裏付けられている。2009年の卒業生で金融業界に就職した比率は20％に過ぎなかった。金融危機が始まる前の2008年の卒業生の47％が金融業界に就職したのと比べると、大幅な減少である。ここでも教育業界や医療業界に就職した学生の数は倍増している。
深刻化する貧困と医療保険の問題
アメリカ社会の最も深刻な問題は、貧困の問題である。最も豊かな国のひとつでありながら、貧富の格差は発展途上国なみである。そうした状況に金融危機に始まる不況が直撃した。国勢調査局が発表した「2008年の所得と貧困、医療保険報告」によると、貧困率は2007年の12.5％から13.2％へと上昇している。貧困線（一人暮らしで年収が1万0830㌦、四人家族で2万2050㌦）以下で生活している数は3980万人と、前年に比べて260万人増加している。このいずれの統計も2008年のもので、不況がさらに深刻化した2009年にはさらに増えると予想される。
また、2008年の家計の実質所得の中央値も前年比で3.6％減少し、5万0303となっている。3年連続で増加した後の減少であり、ここでも不況が影を落としている。貧困層や所得の減少が見られる地域は、住宅バブル破裂の影響が大きかったラスベガスなどのサンベルト地帯と、自動車産業など製造業への依存度が大きかったデトロイトなどの地域である。
最貧層と最富裕層の所得格差は若干拡大している。所得五分位の最富裕層の国民の総所得に占める比率は、2007の49.7％に対して2008は50％と若干増えている。他方、最貧困層の比率は3.4％と横ばいに留まっている。ちなみに富裕層の上位5％の占める比率も21.2%から21.5％へとわずかながら上昇している。いずれにせよ、富裕層と貧困層の所得格差は絶望的ともいえるほど開いていることに変わりはない。
さらに物価上昇分を調整した実質ベースでみると、2008年の労働者の賃金は1983年とほぼ同じである。この25年間、実質賃金がまったく上昇していないというのは驚きである。さらに追い打ちを掛けるように、低所得者向けのサブプライムローン問題が表面化し、労働者の多くは家を失っている。所得の伸び悩みに加え医療費と教育費の増大のなかで低中所得層が生き延びることができたのは、低金利による借入が可能であったからだ。クレジット・カードによる借入が急増しているのも、その証左である。一般の国民が金融機関の高額ボーナスに怒りを覚えるのは当然といえよう。
ただ、資産格差はやや違った様相が見られる。住宅価格と株価下落は富裕層により大きな打撃を与えた。ボストン・コンサルティング・グループの調査では、500万㌦以上の資産を運用している層の資産は2007年の22.6兆㌦から2008年には17.7兆㌦に減っている。低所得層も住宅価格の下落で資産の目減りは見られるが、全体として資産格差はわずかながら縮小していると推測される。しかし、元々、資産家と労働者の資産を比較すること自体が無意味なほど、格差は拡大しているのである。
さらに、アメリカが解決しなければならない深刻な問題がある。それは医療保険制度の改革である。オバマ政権は政策の最優先課題として国民皆保険制度の設立を図ろうとしている。ただ日本では想像もできないほど国民の抵抗は強い。
国勢局の調査では、2008年の無保険者の数は4630万人、人口比では15.4％に達している。前年比で60万人増加している。アメリカでは医療保険は民間の保険会社に加入するか、企業が提供する保険に加入するのが一般的である。問題は失業すると企業の医療保険を使えなくなることだ。失業による所得喪失に加え、過大な医療保険費の負担がのしかかることになる。日本のような国民皆保険制度がないため、不況になると大量の無保険者が生み出されることになる。
所得が低ければ「メディケイド」と呼ばれる政府の低所得者向け医療制度の対象になり、高齢者は「メディケア」と呼ばれる政府の高齢者医療制度を利用できるようになる。問題は、メディケイドが利用できない年収が3万ドルから4万㌦の層である。その所得層が無保険に陥る可能性が最も高い。所得減少でメディケアの対象となった数は、2007年の3960万人から2008年には426万人と14％以上も増えている。これも不況の影響といえよう。メディケイドの対象者数は、430万人で、前年比14.3％増加している。退職後にも潤沢な医療保険を提供していたＧＭは、再建に際して、退職者がメディケアの対象になる年齢に達したら、健康保険の対象から外すと通告している。高齢化が進めば、対象者数はさらに増えるだろう。
オバマ政権の皆保険制度導入は厳しい抵抗にあっている。多くのアメリカ人は、医療保険は自己責任であると考え、皆保険制度が導入されれば増税になると心配しているのである。最近のオバマ大統領の支持率の低下の要因は、医療保険制度改革に原因があるのは間違いない。
アメリカの若者にとっても将来は明るくない。労働組合のナショナル・センターであるＡＦＬ－ＣＩＯ（米労働総同盟産別会議）が九月に「若い労働者－失われた10年」と題する報告書を発表した。同報告によれば、35歳以下の労働者の34％が十分な所得がないために家族と同居しており、10年前と比べるとはるかに大きな雇用不安を感じており、医療保険に加入するのも無理だと答えている。25％の若い労働者は毎月の支払いをするだけの収入がないと答え、半分以上が未来に希望を感じられないと答えている。この10年間に若年労働者の状況は極めて悪化しており、リチャード・ツルムカＡＦＬ－ＣＩＯ会長は「この10年間で若者の機会が失われ、彼らは生きていくのに精一杯である。結婚を断念し、子供を産むのを先延ばしし、いつまでも大人になれない状況が続いている」と説明している。
31歳の若い労働者ネイト・シェーラーは「結婚して両親の家に引っ越した。月々の収入でなんとか生活はできるが、借金は返せない。子供が欲しいが、経済的に無理だ」と、生活の現状を語っている。アメリカの若者は独立心が強く、早く自立するというのが一般的な印象であった。しかし、この10年の経済情勢の変化で、日本とは違った意味で多くの若者がパラサイト化し、ワーキング・プア化しているのである。
コラムニストのボブ・ハーバートが「ニューヨーク・タイムズ」（8月11日）に「恐るべき現実」と題するコラムを寄稿している。その中で同氏は「アメリカの若者、特に若い男性の窮状は恐るべき状況である。実際に働いている割合は61年で最低である」、「これはアメリカの最大の問題であり、最優先されるべき問題である」と書いている。
若者が将来に希望が持てない社会という点では、日米共通しているのかもしれない。
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		<title>為替相場展望（２）：キャリートレードと為替相場</title>
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		<pubDate>Fri, 29 Jan 2010 17:27:24 +0000</pubDate>
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		<description><![CDATA[この記事は１月25日に書いたものです。前の記事は１月７日に書きました。その時点ではアメリカ経済の回復は堅調であると書きました。それをベースに相場の見通しを書いたのですが、１月８日に発表された雇用統計は予想に反してあまり良い内容ではありませんでした。その他の要因も加わり、その後、ドルが売られる展開となりました。ここでは、そうした要因を説明しました。同時に、前回にも触れた”キャリートレード”についても解説しました。蛇足ですが、私は大学を卒業して外国為替専門銀行の東京銀行（現在の三菱東京ＵＦＪ銀行）に就職し、最初の業務は輸出手形の買取業務でした。経済社会での最初の経験が為替相場に関するものでした。その時の経験が、記者になっても随分助けになりました。
前回、本欄で円相場の基調は円安・ドル高にあると書きました。その前提条件は、アメリカ経済の回復が予想を上回るペースで進んでいるという判断がベースにありました。年末段階では、失業率も11月を頂点に低下し始めるという見方が支配的でした。もし、アメリカ経済の回復が進んでいるということが予想されるなら、ＦＯＭＣ（連邦準備制度理事会）は早晩、ゼロ金利政策を修正し、利上げに踏み切ることになるのは間違いないと思われました。ＦＯＭＣ、あるいはＦＲＢ（連邦準備制度理事会）はインフレ再燃を随分気にしています。中央銀行の最大の責務は通貨価値の維持にあります。低金利による流動性の供給は、将来、必ずインフレを誘発する可能性があります。ＦＯＭＣの議事録では、操業度がまだ低いので景気が回復してもすぐにインフレの兆候は出てこないと指摘しつつも、同時に“インフレ予想”が上昇しているという警告も発しています。具体的な受給の逼迫で物価が上昇するよりも、インフレ予想が高まることの方がインフレに与える影響は大きいのです。早ければ第2四半期に利上げがあるという予想が市場の大方の見方でした。とすれば、ドル・キャリー・トレードの巻き戻しや対米投資の増加で、ドルは基調的に強くなるというのが、円安・ドル高のシナリオでした。
その見通しが基本的に変わったわけではありませんが、アメリカ経済の回復スピードは予想ほど強くないとの認識が出てきています。12月の失業率は10％に留まったままであり、個人消費も好調とは言えません。第3四半期の経済成長率も３度にわたって下方修正されています。こうした状況から判断すれば、景気が力強く回復しているという見方はやや勢いがなくなってきています。ポール・クルーグマン・プリンストン大学教授やジョセフ・スティグリッツ・コロンビア大学教授などは、アメリカ景気の“二番底”の可能性は否定できないという指摘をしています。こうした状況の変化を背景に、１２月に見られたドル高の勢いも鈍くなっています。
先週（18日から23日）の週は、ドルが売られました。円相場は１ドル＝89円79銭と一時90円を超える円高場面も見られました。これは12月18日以来の円高水準です。ユーロの対ドル相場も、１ユーロ＝1.4029ドルと昨年の7月30日以来のユーロ安を記録しています。円の対ユーロ相場は円高で、１ユーロ＝126円98銭を付けました。ドル安を懸念して、資金はリスク資産から一次産品へ流れています。為替市場では、円が“最強の通貨”となっています。『ウォール・ストリート・ジャーナル』（1月22日付け）は、円のことを“最も安全な通貨（ultimate safe-haven currency）”と呼んでいます。日本から見ていると、景気回復の足ドルは重く、政治的な不安を抱えている円がどうして“最強の通貨”なのかと疑問に思いますが、海外の投資家の目にはそう映っているようです。確かに欧米の経済状況と比較すると、円は安定した通貨といえるのかもしれません。
【為替相場を取り巻く不確実性高まる】
しかし、相場の状況は常に変化しています。昨年の３～４月までは円高・ドル安の展開でしたが、秋から年末に掛けて相場の展開はガラリと変わりました。相場は、常に新しい情報を消化しながら展開していくものです。景気見通しが大きく変わる時や、新しいニュースが発表されたり、大きな政治的、経済的なイベント（出来事）が起こると、短期的に相場は大きく変動します。先週の相場は、まさにそうした展開でした。
では先週、何が起こったのでしょうか。まず、既に述べたようにアメリカ景気の回復が予想ほど強くないことがベースにありました。そこにオバマ大統領の銀行規制が発表されました。内容は一言で言えば、銀行が預金業務を行うのであればヘッジファンドや投機的な資産運用を行うことを規制するというものです。そうすることで銀行のリスクを低下させることを狙ったものです。大恐慌の後、アメリカは商業銀行業務と投資銀行業務の兼業を禁止する「グラス・スティーガル法」を導入しました。しかし、1970年代末から金融規制緩和の動きが始まり、最終的に同法は廃止になりました。その結果、国民の預金を預かっている銀行がリスクの高い投資を行い、金融危機を招いたという経緯があります。オバマ政権は金融規制強化を政策の柱に掲げていましたが、オマバ大統領は今までの規制強化案に満足していなかったのです。そうした中で19日にマサチューセッツ州上院補選が行われ、民主党候補が敗北しました。同州は民主党の指定席と見られていただけに、オバマ政権と民主党にとって大きな打撃となりました。11月に中間選挙を控えており、オバマ大統領としても何とか巻き返し策を講じる必要があったのです。そんな状況の変化の中で、昨年来、商業銀行と投資銀行の業務区分を主張していたポール・ボルカ－元ＦＲＢ議長の提案が取り上げられ、今回のオバマ大統領の規制強化案の柱となったのです。この政策は市場に大きな影響を与えました。市場は、規制強化が行われれば、対米投資が減少すると反応しました。それはドル売りにつながります。
さらにドル安材料が浮上してきました。それはバーナンキＦＲＢ議長の２期目の再任が怪しくなってきたからです。上院で同議長の再任は承認されるというのが大方の見方でしたが、ここでもマサチューセッツ州上院補選の結果が響き、一部の民主党議員が再任に反対との姿勢を明らかにしたのです。同議長の任期は１月30日までです。ただテクニカルにいえば、仮に議長として再任されなくても、ＦＲＢ理事として留任は可能です。議長は理事の中から指名され、議長の任期と理事の任期が異なるからです。可能性は低いかもしれませんが、同議長が再任されないという可能性は否定できません。上院銀行委員会のドッド委員長は「もしバーナンキ議長が再任されなければ、市場（株式市場、債券市場、為替市場）は大暴落する可能性がある」と語っています。
さらに為替市場が懸念するニュースがありました。中国経済は予想を上回るスピードで成長しています。住宅バブルなどインフレ問題が深刻化しています。中国の12月のインフレ率は1.9％でした。中国経済の成長は、巨額の財政刺激策と政策的な貸出促進政策で実現したものです。中国政府はインフレを抑制するために、銀行貸出の抑制を始めています。昨年１年で、新規貸出額は9.59兆元（1.4兆ドル）に達しています。新規融資を抑制するために中国人民銀行は銀行の支払い準備率の引き上げを行っています。市場関係者は、６月末までに中国人民銀行は利上げに踏み切るのではないかと予測しています。こうした中国の動きも市場に先行き不透明感を与えています。
ユーロ相場はドルと円の両方に対して下落しました。その背景には、ギリシャの財政赤字問題があります。1月19日にユーロの財務大臣会議が開催されました。会議後、出席者は「ギリシャ危機は他のユーロ諸国に影響を及ぼす可能性がある」と語っています。極論ですが、ギリシャ問題はユーロ体制そのものを揺るがす懸念があるのです。
こうした国際的な経済情勢が大きく変わる中で、円は相対的な安定した通貨と見られ、投資家が円買いを進めたのが、今回の円高です。ただイベントに誘因された市場の動きは、逆に言えば、イベントの影響が消化される、あるいは消えれば終わりで、中長期的な影響はないでしょう。中期的な為替相場の焦点は、依然としてアメリカの景気回復と金融政策の動向であることは間違いないでしょう。そこで、前回の記事で“キャリー・トレード”のことを書きましたが、今回、少し詳しく説明しておきます。
【キャリー・トレードの背景】
10年ほど前には、“キャリー・トレード”は金融機関のトレーダーの間で使われていた“業界用語”でした。しかし、最近では、経済新聞は言うまでもなく一般新聞までキャリー・トレードという言葉を使うようになっています。「円のキャリー・トレードが行われた」とか、「ドルのキャリー・トレードの巻き戻しが始まった」などという表現が頻繁に為替の記事に登場するようになっています。それだけキャリー・トレードが相場に与える影響が大きくなっているということなのでしょう。
ハーバード大学のジェフリー・フランケル教授はキャリー・トレードを「低金利の通貨をショートにし、高金利の通貨をロングにする戦略である（the strategy of going short in a low-interest currency, while simultaneously going long in a high-interest currency）」と定義しています。英語の”short”は日本語で「売り持ち」、”long”は「買い持ち」のことです。たとえば、５～６年前、盛んに「円のキャリー・トレード」が行われました。それは円金利が安く、円を売り持ちにして、高金利のニュージーランド・ドルを買い持ちにすることで大きな利益を上げることができました。 もう少し具体的なイメージで説明すると、投資家は金利の安い円資金を借りて、その円でニュージーランド・ドル建ての債券などに投資することです。要するに円資金を借りてニュージーランド・ドル建ての債券を“キャリー（保有する）”のです。
ただ、キャリー・トレードは低金利の資金を借りる場合だけを意味する訳ではありません。もっと広い意味では、資金を借りなくても、投資家はポートフォリオを低金利の資産から高金利の資産に組み替えることもできます。こうしたポートフォリオの組み替えもキャリー・トレードという定義に含められています。その際、当然、低金利の資産は売却され、その資金で高金利の通貨が買われ、それがその国の資産に投資されるのです。したがって、キャリー・トレードが行われると、低金利の通貨は売られ（安くなる）、高金利の通貨は買われます（高くなる）。もちろん、最初に説明した資金を借り入れて行うキャリー・トレードのほうが高い利益を上げることができます。
キャリー・トレードの対象となるのは、どんな通貨でも構いません。最近まで、ユーロやドルを借りてのキャリー・トレードが盛んに行われていました。対象となった資産は、オーストリア、ブラジル、ハンガリー、アイスランド、インドネシア、メキシコ、ニュージーランド、ロシア、南アフリカ、トルコの高い利回りの資産でした。こうした国には国際資本が流入したのです。
ただキャリー・トレードは一種の投機ですから、高いリスクも伴います。したがって市場のボラティリティ（変動幅）が小さい時、リスクは少ないのですが、逆にボラティリティが大きくなるとリスクも大きくなります。したがって、世界的に低金利の時代が続き、しかも変動幅が小さい時にキャリー・トレードが盛んに行われました。要するに市場リスク（market risk）が小さい時、キャリー・トレードは魅力的な投資になるのです。過去の例を見ますと、1987年にアジア金融危機が起こりましたが、危機が発生する直前まで巨額のキャリー・トレードが行われていました。投資家はアジアやラテン・アメリカ、ロシアに巨額の投資を行ったのです。ヘッジファンドは高いレバレッジを効かして、巨額のドル資金を借りて、発展途上国の高利回りの金融商品に投資を行っていました。しかし、ドル金利の上昇で多くの投資家は巨額の損失を計上しました。1998年10月4日から10日の間に円相場はドルに対して16％も上昇したのです。そのためキャリー・トレードはリスクが高くなり、投資家は円ショートの巻き戻し（円の買い戻し）を行ったのです。低金利の国の為替が強くなると、投資家は損失を計上することになります。
円がキャリー・トレードの対象になったのは1990年代末のゼロ金利の頃です。円金利はゼロなので極めて低い金利で円を借りることができました。円借りによる円ショートが行われたのです。円資金は米ドル、オーストリア・ドル、ニュージーランド・ドル、香港ドルに投資されました。
キャリー・トレードの逆を「巻き戻し（unwindingとかreversal）」と言います。先に述べたように投資家はキャリー・トレードに使っている低金利の通貨の為替相場が上昇すると予想されると、巻き戻しを行います。たとえば2007年にサブプライム・ローン問題が顕在化したとき、投資家はドル資産を売却し、キャリー・トレードを手仕舞っています。
【キャリー・トレードの仕組み】
上でキャリー・トレードの概念的な説明をしました。もう少し具体的な事例を上げて説明します。そのほうが分かりやすいでしょう。
現在、ドル金利は超低金利です。ＦＲＢは政策金利であるフェデラル・ファンド金利の目標を0～0.25％に設定しています。この金利は銀行間市場での金利です。金融機関であれば、フェデラル・ファンド市場で超低コストの資金を借りることができます。機関投資家は金融機関を通して同じく超低金利の資金100万ドルを１％の金利で借りることができたとします。金利の高い国の金融商品の利回りが５％とします。金利差は4％で、資金調達にかかるコストは１万ドルです。これを“キャリング・コスト”と言います。もし為替相場や金利が変動しなければ、この投資家は労せずして４万ドル儲けることができるのです。もしレバレッジ（借入）を使って借入額を増やせば、利益もそれだけ増えます。もし、投資期間中にドル相場が下落すれば、金利差益に加え為替差益も発生するので、利益はさらに増えます。ドルを売っているのですから、理屈から言えば、ドル相場は下落する可能性があります。そうなれば投資家は二重の利益が期待できるわけです。
しかし、世の中はそんなに楽に出来ているわけではありません。キャリー・トレードは国際的にだけ行われるわけではありません。短期金融市場で低利の短期資金を借りて（長期金利よりも金利が安い）、たとえば長期の住宅担保証券に投資し、金利差を稼ぐことができます。これもキャリー・トレードと同じ仕組みです。しかし、それは国内の債券市場でバブルを引き起こします（市場に大量の資金が流入するため）。国際的にも、高利回りの国の債券市場でバブルが起こる可能性もあります。そうなれば、各国の中央銀行は政策を変更する可能性があります。低金利国の金利が上昇すれば、キャリー・トレードの巻き戻しが始まり、債券市場も為替市場も大きく変動する可能性があります。損失を最小限に納めようとする投資家は資産を売り急ぎ、さらに市況を悪化させるという悪循環が始まるかもしれません。
【最近のキャリー・トレードの状況】
2009年11月9日付けのブルームバーグの記事は「国際通貨基金によれば、米国の歴史的低金利が世界的なキャリー・トレードの原動力となっている。ＩＭＦはドルの一段の下落余地も指摘し、新たな金融不均衡への懸念も浮上している」。「ＩＭＦは７日、Ｇ２０で公表した報告書で、『ドルのキャリー・トレードの資金調達通貨となっている兆候がある』とし、このキャリー・トレードが『ユーロや一部の通貨への上昇圧力につながっている可能性がある』と分析した。ドルについては『中期的な均衡点に接近してきたものの、なお過大評価されている』との見解を示した」と書いています。
さらに2010年1月8日付けの『ウォール・ストリート・ジャーナル』は「ドル・キャリー・トレードはまだ終わっていない」と題する記事を掲載しています。その内容を紹介します。「12月の雇用統計で直近のドル高相場の期待は水を掛けられた」と指摘しています。市場はドル金利上昇、ドル高を予想していました。そのため12月にドルはユーロに対して５％、円に対して８％上昇しました。しかし、利上げ予想は完全に当てが外れ、１月11日の週は逆にドル安・円高相場となりました。ＦＯＭＣの利上げのタイミングは先に延びたため、「ドル・キャリー・トレードが終わったというのは時期尚早である。ドルのキャリー・トレードが本当の意味で終わるのは、今年の後半である」と分析しています。同記事は、6月のＦＯＭＣで利上げが決定される確率は22％と予想しています。しかし、「利上げの可能性が先に延びたことで、キャリー・トレードで高利回り商品に投資をしている投資家は一息ついた」とも書いています。
ＦＯＭＣが利上げを決定し、本格的なドルのキャリー・トレードが始まった時、相場は本格的なドル高になる可能性があります。ただ、それは大きな要素ではありますが、キャリー・トレードだけで相場が決まる訳ではありません。その時のアメリカ経済の状況、国際経済の状況も同時に相場の展開に大きな影響を与えます。
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