中岡望の目からウロコのアメリカ

2011/7/16 土曜日

やがてアメリカはヒスパニック系が多数派に:国勢調査分析

Filed under: - nakaoka @ 23:46

遠からずアメリカの白人は少数派に転落すると予想されている。そうした予想を裏付けるような調査結果が発表されている。アメリカでは10年に1度、大掛かりない国勢調査が行われている。2010年に行われた調査結果によれば、ヒスパニック系アメリカ人が急増している実態が明らかになった。アメリカは先進国の中では珍しいほど人口増加率の高い国である。たとえば、1990年から2000年の間に人口は13.2%(3270万人)増加している。2000年から2010年の10年間では伸び率は9.7%(2730万人)とやや増加率は鈍化したものの、大きな伸びを示していることに変わりはない。

そうした人口の増加は非白人人口の増加によってもたらされているものである。2000年から2010年を見ると、ヒスパニック系の人口は43.0%増加しているのに対して、白人はわずか1.2%に過ぎない。ヒスパニック系と並んで高い増加率を示しているのはアジア系で43.3%であるが、絶対数ではヒスパニック系にはるかに及ばない。非白人で最も大きい人口を占めるアフリカ系の伸び率は12.3%である。これは非混血の人種別の増加率であるが、特定の人種に区分できない混血人口の増加率は32.0%である。ちなみに二人種の混血人口の中で最も多いのが、白人と黒人の混血で20.4%を占めている。

アメリカの人口は2010年4月1日現在で3億0870万人である。ヒスパニック系は5050万人で全体の16.3%を占めるに過ぎない。白人の占める比率63.7%と比べると少数派に変わりはない。ただアフリカ系の12.6%は既に上回っている。

さらに特徴的なことは、将来のアメリカの人口を決定する17歳未満の子供の人口動向である。2000年のヒスパニック系の子供の数は1230万人で、同世代の17%強を占めていたが、2010年の調査では人口は1710万人で、同世代で占める比率は23%を上回るまでになっている。具体的な数では、白人の子供の数は10年間に430万人減少しているのに対して、ヒスパニック系とアジア系の子供の数は550万人増加している。共和党の地盤であり、ブッシュ前大統領が知事を務めたテキサス州では、増加した子供人口のうちヒスパニック系が実に95%を占めている。

こうしたヒスパニック系人口の増加は、移民の増加も反映している。ヒスパニック系の62%はアメリカで生まれているが、38%は海外で生まれた人々(移民)である。ちなみに大人だけを見るとアメリカ生まれは47%、海外で生まれた比率は53%である。

こうしたヒスパニック系人口の増加は今後も続くのは間違いないだろう。米国勢局が2010年7月15日に発表した資料では、ヒスパニック系の人口比率は2050年には30%に達すると予想している。

 政治問題を引き起こすヒスパニック系人口の増加

ヒスパニック系人口の増加のアメリカ社会に与える影響は人口統計以上のものがある。それは特定地域で集中的に増加しているからだ。たとえば、テキサス州とニューヨーク州の人口に占めるヒスパニック系の比率は46%を占めている。地理的な分布をみると、先の2州に加え、アリゾナ州、コロラド州、フロリダ州、イリノイ州、ニューメキシコ州など9つの州に集中しているのが特徴である。

テキサス州のスター郡では2009年時点で人口の97%がヒスパニック系の住民であった。ロサンジェルス郡ではヒスパニック系住民の数は470万人に達している。全国で見ると3143郡でヒスパニック系住民が過半数を占めているのである。こうした地域では、ヒスパニック系が選挙結果に大きな影響を及ぼすことは想像に難くない。

さらにヒスパニック系人口の増加の特徴は人口分布が全国に広がりつつあることだ。先の9つの州ではヒスパニック系住民の集中度は徐々に減ってきている。1990年には86%であったが、2000年には81%、今年は76%である。この10年間で著しい増加を記録したのが南カロライナ州で、148%増、アラバマ州で145%、テネシー州で123%などとなっている。人数は少ないが倍以上増えているのがメリーランド州と南%

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