中岡望の目からウロコのアメリカ

2004/12/21 火曜日

ヒラリー・クリントン大統領誕生へ!?ー世論調査で独走

Filed under: - nakaoka @ 9:15

第2次ブッシュ政権の輪郭が次第に明らかになってきています。先週開催された経済コンファレンスでは、社会保障改革(年金改革)が最重要課題として議論されました。今議会の最終段階で「情報改革法」が成立しました。今まで、それぞれの機関に分かれていた諜報活動を一本化し、強化することを狙ったものです。アメリカの議会は2年単位で動きます。それは下院議員の任期が2年であり、その会期中に成立しない法律はすべて廃案になります。今回も、今議会が実質的にこのクリスマスで終るので、それにあわせて同法が成立したのです。第2次ブッシュ政権は来年1月末の就任式を経て成立しますが、世の中の関心はもう2008年の大統領選挙に移りつつあるようです。今日は、フォックス・ニュースが行なった2008年の大統領選挙の世論調査を紹介することにします。

同世論調査では、次のような質問をしています。
「もし今日、大統領選挙が行なわれるとすると、誰に投票しますか」
その回答は次の通りです。

ケース①
1位 ニューヨーク選出上院議員ヒラリー・クリントン(民主党)    40%
2位 テネシー州選出上院議員ビル・ファースト(共和党)       33%
3位 分からない                            27%

2位のファースト上院議員は共和党の院内総務で、党の最高責任者です。

ケース②
1位 ヒラリー・クリントン上院議員                 41%
2位 ニューヨーク州知事ジョージ・パタキ(共和党)         35%
3位 分からない                          24%

ケース③
1位 ヒラリー・クリントン上院議員                 46%
2位 フロリダ州知事ジェブ・ブッシュ(共和党)           35%
3位 分からない                          19%

ジェブ・ブッシュ知事は、ブッシュ大統領の弟です。

ケース④
1位 マサチュウーセッツ選出上院議員ジョン・ケリー         45%
2位 フロリダ州知事ジェブ・ブッシュ                37%
3位 分からない                          18%

ケリー上院議員は、今回の大統領選挙の民主党候補者です。彼は大統領選挙に負けましたが、それでも上院議員の席は確保しています。これは、上院議員の任期は6年で、途中、大統領選挙に立候補し、落選しても、任期が残っていれば、上院議員のままなのです。ヒラリー・クリントン上院議員が当選したのは2002年で任期は2008年までです。したがって、2008年は上院議員改選の年になります。上院選挙では、元ニューヨーク州知事で、9月11日の連続テロ事件の後に活躍して人気を得たギュニアーニが立候補すると予想されています。かなりの接戦になると予想されます。もしヒラリー・クリントン議員が大統領選挙に出れば、上院選挙には立候補できないはずです(できるかできないか、確認していませんが、常識的に大統領選挙に立候補している人物が同時に上院選挙に出ることができるというのは考えにくいことです)。事実、最近、ヒラリー・クリントン議員の秘書に就任した人物は、彼女は上院選挙に出ないという趣旨の発言をしています。

また、ブッシュ知事が大統領選挙に立候補するという予測はあります。まだ本人は否定していますが、その可能性は十分にあるでしょう。ただ、この調査から分かるように、ケリー議員には大敗するとの結果が出ています。もしブッシュ知事が当選すれば、親子3人が大統領になるなど、アメリカ史上初めての事態が起こります。しかも兄弟が続いて大統領になると、それは間違いなく「ブッシュ王朝」の成立ということになるでしょう。ちなみにケリー候補は次回も立候補する意向で、その準備を進めています。

アンケートには、もう1つ質問があります。
「クリントン上院議員に投票するかどうかは別にして、クリントン上院議員は大統領としての資質があると思うか」

回答は次の通りです。
2008年に有権者になる14歳から15歳    ある  59%   ない  34%  分からない  7%

全体では
男性                  ある  53%   ない  39%  分からない  8%
女性                  ある  64%   ない  29%  分からない  8%
民主党支持者              ある  84%   ない  10%  分からない  6%
共和党支持者              ある  33%   ない  59%  分からない  8%
無党派                 ある  58%   ない  33%  分からない  9%

若者、男性、女性、党派で回答の内容がかなり違います。共和党にはクリントン上院議員に対するアレルギー反応が極めて強そうです。ただ、共和党もライス次期国務長官を推すのではないかという予測もあります。そうなれば、女性同士で大統領選挙を争うことになります。選挙は4年先です。この間にいろいろなことが起こりるので、誰が本当に最終的な候補になるのか分かりません。共和党では、マケイン上院議員が立候補の準備を進めています。ただ、キリスト教右派は、マケイン議員を支持しないと明言しています。しかし、マッケイン議員は民主党の中にも支持者がいます。ケリー大統領候補は副大統領候補に共和党のマッケイン議員を考えたほどです。もしマケイン対クリントンになると、まったく状況は変わってくるかもしれません。これから2008年まで色々な名前が浮上しては、消えていくでしょう。しかし、現時点ではクリントン議員が最有力な候補であることは間違いないでしょう。

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