中岡望の目からウロコのアメリカ

2011/7/16 土曜日

ティーパーティ運動の影のスポンサー、コーク兄弟

Filed under: - nakaoka @ 23:57

アメリカの保守主義運動の背景に大富豪が存在している。コーク兄弟(Koch)である。彼らはリバタリアン(市場至上主義者)だが、コーク・インダストリーという巨大コングロマリットを支配し、膨大な資金を背景にティーパーティ運動の影のスポンサーになっている。その本当の姿は秘密にされてきた。以下、同兄弟の実像を紹介する。

 2010年9月24日付けの一通の招待状が送られた。招待状は2011年1月30日と31日の二日間、カリフォルニア州の高級リゾート地ランチョ・ミラージュにあるホテルで開かれる会議への参加を呼びかけるものであった。招待主はチャールズ・コ-ク。その肩書きはコ-ク・インダストリーの会長兼CEO(最高経営責任者)と記されている。招待状の最初の一行に「我々でなかったら、誰がするのか。今でなかったら、いつするのか」と書かれている。現在、アメリカの自由と繁栄は危機に瀕しており、今こそ立ち上がり、戦うべき時だと招待状は訴えている。

 この会議は年二回開催され、アメリカの自由を守るための戦略を検討するのが目的である。前回の会議は6月にコロラド州アスペンで開かれ、大きい政府に反対し、11月の中間選挙で保守派に勝利をもたらすために市民活動を強化する戦略を巡って議論が行われた。参加者は医療保険制度改革に反対し、排ガス規制などを推し進めるリベラル派に対抗する運動を展開している。アスペンの会合では、フォックス・ニュースのコメンテーターで、ティーパーティ運動の指導者の一人であるグレン・ベックが「アメリカは隷属への道を進んでいるのか」と題する講演を行っている。この演題は、保守派の経済学者で、ノーベル経済学賞を受賞したF・A・ハイエクの名著『隷属への道』から取ったものである。

 ニューヨーク・タイムズ紙(1月19日)は、同会議は“徹底した秘密会議”で、会議で議論されたことは一切公表されないと指摘している。また、同紙は、来年開催される会議のテーマは「アメリカの自由企業と繁栄に対する脅威を理解し、取り組むこと」とであると指摘している。

 会議の招待者は企業経営者、投資家、ヘッジファンド・マネジャー、慈善団体の指導者、政治家、宗教家、市民運動家などで、その数は約200名。いずれもアメリカの保守層を代表する人々である。この会議の出席者は“コーク・ネットワーク”とも呼ばれ、徹底した保守主義者の集まりである。チャールズ・コークは「この会議の目的は太陽の下で楽しむことではなく、共有する原理を促進するために必要な困難な任務を進んで果たす行動者の集まりである」と語っている。

 同会議の招待者のチャールズ・(75歳)とデビッド(70歳)のコーク兄弟は、アメリカの保守主義運動を裏から支える大スポンサーである。彼らの政治信条は“リバタリアン(自由市場主義者)”である。デビッドは1980年の大統領選挙でリバタリアン党の副大統領候補として立候補し、社会保障制度、FRB(連邦準備制度理事会)、最低賃金制、法人税の廃止を訴えている。父親のフレッドは超保守派で反共グループのジョン・バーチ協会の理事を務めていた。いわば一家を挙げての保守主義者である。

 2004年に有権者を動員する政治活動組織「アメリカンズ・フォー・プロスパリティ・ファンデーション」を設立し、民主党に対抗する選挙活動を展開している。ジャーナリストのジェーン・メイヤーによると、コーク兄弟はティーパーティ運動が始まった当初から同運動を資金的に支援していた(ニューヨーカー誌、9月号)。コーク兄弟が持つ幾つかのファンデーションは1998年から2008年の間に保守派の政治家や団体に対して約2億㌦の資金を寄付している。11月の中間選挙ではティーパーティ運動の支持を得た候補者を支援するなど、共和党躍進の影の功労者であった。それは、リベラル派を支援している大富豪ジョージ・ソロスに対して、保守派を支援する大富豪コーク兄弟という好対照の図式が描かれる。ただ、ソロスが公然と政治活動を展開してきたのに対して、コーク兄弟は政治の表面に現われることはなかった。

 コーク兄弟は政治活動に留まらず、慈善活動でも巨額の資金を投じている。2000年以降だけで、芸術促進や医学研究、教育機関に対して6億㌦以上の寄付を行っている。その中にはニューヨークのリンカーン・センターにあるニューヨーク州シアターの改築に1億㌦を寄付している。現在、同劇場はデビッド・コーク劇場と名称が変わっている。コーク兄弟二人の資産を合計するとビル・ゲーツとウォーレン・バフェットに次ぐ超富豪である。

 コーク兄弟が経営するコッチ・インダストリーズは1940年に父親のフレッドによってカンサス州に設立され石油、化学製品、天然ガス、パルプ、農薬、金融など幅広く業務を行っているコングロマリット企業である。2009年の売り上げは1000億㌦に達し、従業員数は8万人を越える大企業でもある。チャールズとデビッドの持ち株比率はそれぞれ42%であり、二人の未上場の個人会社でもある。

3件のコメント »

  1. [...] 10月17日、再燃したアメリカデフォルト危機もなんとか債務上限を引き上げ、回避されました。 しかしまた、2014年2月7日には、三度同じような騒ぎが沸き起こり、今度は本当にデフォルトに陥る危険性が今以上に高まることは間違いないことでしょう。 そこで今回は、来年2月のデフォルト危機を見据えて、「デフォルトは起きるのか?」を追求していきたいと思います。 10月17日にデフォルトが回避されたということは、デフォルトに追い込もうとしていた共和党→茶会派(ティーパーティー派)が妥協したということですが、ロックフェラーの影響力が強い共和党の力を、ロスチャイルドの影響力が強いオバマ:民主党の力が上回っているということを示します。 この力関係は、9.11→イラク侵攻やアフガニスタン紛争の失敗(『NWO(新世界秩序=世界政府)計画の破綻か?』)などにより、これまでのやり方(戦争によるクラッシュ&ビルド:軍産複合体)では立ち行かなくなった(戦争を生業とする)ロックフェラーが、金融を生業とするロスチャイルドの“畑”を荒しにかかったということから、ロスチャイルドがロックフェラーをコテンパンにやっつけたリーマンショック以降、その力関係が顕著になってきていると思われます。 その象徴が、郵政民営化を仕掛けたロックフェラーでしたが、結局のところ、ロスチャイルドにまんまとしてやられた(『アフラックに屈服したTPP日本』)ことからも伺えます。 また、オバマに対抗しているティーパーティーについても、それを率いるロン・ポール共和党下院議員も、実はロスチャイルドの意向を受けているようです。(『ティーパーティーとロン・ポールの正体』) このティーパーティーの創設者は、ミッシェル・バックマン共和党下院議員で、ロックフェラーの息のかかった人物で、当初は、オバマ→民主党→ロスチャイルドに対抗する勢力であったことが伺えますが、このロン・ポール議員の登場によって、それが逆転したとも見てとれます。 ただし、この仮説もまだ、根拠に乏しく、というのも、このロン・ポール議員は、小さな政府志向やFRB廃止を訴えており、そのスポンサー:コーク兄弟も同様の立場。但し、コーク兄弟は、医療保険制度改革支持者ということで、彼らの立ち位置はまだ未解明のところがあります。また、ケネディ大統領始め、過去にFRB廃止を訴えた著名人は、“消されている”ということからすると、ロン・ポール議員がこれだけ、マスコミに取り上げられるという不可解な部分もあります。 上述の内容は、ロスチャとロックの対立という構図で見た場合の「不可解さ」ですが、一旦その考えを外し、両者は一蓮托生と見れば、一定整合がとれるのでは?とも思われます。 今年、6月にロスチャイルド系通信社:ロイターより、ロックフェラーとロスチャイルドの資産運用事業での資本提携のニュースが配信されました。   これは、ロックフェラーがロスチャイルドの支配下に入ったという宣言とも考えられます。 デビッド・ロックフェラーは98歳を超え、死亡説などもあるくらいの高齢です。彼の後継者や陣頭指揮を取っている人物については、現在情報がほとんどありません。 彼の息子のデイビッド・ロックフェラーJrは大学の教授で、東北大震災で日本を訪れていましたが、とても裏社会を支配できる人物ではなさそうです。 現在最も力のある甥っ子のジェイ・ロックフェラーは、親父を殺された?恨みからデビッドと対立し、ロスチャイルド陣営(:ゴールドマンサックスオーナー)にいます。もしかしたら、ジェイが年老いたor死んだデビッドに代わり、ロックフェラー家を動かしているとも考えられます。そうなれば、アメリカは一枚岩ということになります。 いずれにしろ、加速するドル離れの流れや、中央銀行制度からの脱却の動きからも分るように、消費欠乏が衰弱した現代では、中央銀行制度自体も立ち行かなくなっていることは、金貸し連中も充分承知のことと思われ、次の策に打って出るのも時間の問題と考えられます。 その契機が、米国債暴落→デフォルトであると考えられます。 そしてその後、銀行預金凍結→新通貨発行(デノミ)により、国の借金を目減りさせることで、延命させることが考えられます。リンク すでに、銀行預金凍結への準備はJPモルガン・チェース銀行によって行われておリ(リンク)、このモルガン・チェース銀行ということも、ロスチャイルド系銀行とロックフェラー銀行の合併銀行ということからすると、何か象徴的に思えるのは、私だけでしょうか。。 但し、これはあくまで“延命策”でしかありません。先ほども述べましたが、消費欠乏が衰弱という状況の下では、中央銀行制度が存続できない構造にあるのです。すぐにまた、借金が増えていくことは間違いありません。 そこで、次の手として考えられるのが、TPPを契機とした「グローバル企業体が国家を凌駕する」新たな世界秩序の構築ではないかと考えられます。 現在、TPP参加企業を見てみると、アメリカ企業がほとんどを占め、しかも、ロスチャイルド系、ロックフェラー系それぞれ、仲良く参加しているではありませんか・・(リンク) 以上のような仮設や問題意識をもって、アメリカ・デフォルトの可能性と、それを受けた近未来予測、そして、今後の日本の未来像へ迫っていきたいと思います。 概ね以下の目次構成で進めていきます。 :m281: 1.アメリカ・デフォルトへのシナリオ :m282: 2.今回のデフォルト騒ぎはなんだったのか? :m283: 3.アメリカ政府に関する基礎知識 :m281: 4.アメリカ経済の苦境の実態 :m282: 5.デフォルトは避けられない!? :m283: 6.金貸しによる打開策の模索 :m281: 7.金貸しの次なる一手は!? :m282: 8.次の社会の未来予想 :m283: 9.日本の未来と可能性!? :m281: どうぞ :m034: ご期待下さい :m034: [...]

    ピンバック by みんなの暇つぶし情報館★いろんな情報いっぱい★ » アメリカ・デフォルトは起きるのか!?-1 ~プロローグ・・ロックフェラーはロスチャイルドの支配下に?~ — 2013年11月4日 @ 17:17

  2. [...] 10月17日、再燃したアメリカデフォルト危機もなんとか債務上限を引き上げ、回避されました。 しかしまた、2014年2月7日には、三度同じような騒ぎが沸き起こり、今度は本当にデフォルトに陥る危険性が今以上に高まることは間違いないことでしょう。 そこで今回は、来年2月のデフォルト危機を見据えて、「デフォルトは起きるのか?」を追求していきたいと思います。 10月17日にデフォルトが回避されたということは、デフォルトに追い込もうとしていた共和党→茶会派(ティーパーティー派)が妥協したということですが、ロックフェラーの影響力が強い共和党の力を、ロスチャイルドの影響力が強いオバマ:民主党の力が上回っているということを示します。 この力関係は、9.11→イラク侵攻やアフガニスタン紛争の失敗(『NWO(新世界秩序=世界政府)計画の破綻か?』)などにより、これまでのやり方(戦争によるクラッシュ&ビルド:軍産複合体)では立ち行かなくなった(戦争を生業とする)ロックフェラーが、金融を生業とするロスチャイルドの“畑”を荒しにかかったということから、ロスチャイルドがロックフェラーをコテンパンにやっつけたリーマンショック以降、その力関係が顕著になってきていると思われます。 その象徴が、郵政民営化を仕掛けたロックフェラーでしたが、結局のところ、ロスチャイルドにまんまとしてやられた(『アフラックに屈服したTPP日本』)ことからも伺えます。 また、オバマに対抗しているティーパーティーについても、それを率いるロン・ポール共和党下院議員も、実はロスチャイルドの意向を受けているようです。(『ティーパーティーとロン・ポールの正体』) このティーパーティーの創設者は、ミッシェル・バックマン共和党下院議員で、ロックフェラーの息のかかった人物で、当初は、オバマ→民主党→ロスチャイルドに対抗する勢力であったことが伺えますが、このロン・ポール議員の登場によって、それが逆転したとも見てとれます。 ただし、この仮説もまだ、根拠に乏しく、というのも、このロン・ポール議員は、小さな政府志向やFRB廃止を訴えており、そのスポンサー:コーク兄弟も同様の立場。但し、コーク兄弟は、医療保険制度改革支持者ということで、彼らの立ち位置はまだ未解明のところがあります。また、ケネディ大統領始め、過去にFRB廃止を訴えた著名人は、“消されている”ということからすると、ロン・ポール議員がこれだけ、マスコミに取り上げられるという不可解な部分もあります。 上述の内容は、ロスチャとロックの対立という構図で見た場合の「不可解さ」ですが、一旦その考えを外し、両者は一蓮托生と見れば、一定整合がとれるのでは?とも思われます。 今年、6月にロスチャイルド系通信社:ロイターより、ロックフェラーとロスチャイルドの資産運用事業での資本提携のニュースが配信されました。   これは、ロックフェラーがロスチャイルドの支配下に入ったという宣言とも考えられます。 デビッド・ロックフェラーは98歳を超え、死亡説などもあるくらいの高齢です。彼の後継者や陣頭指揮を取っている人物については、現在情報がほとんどありません。 彼の息子のデイビッド・ロックフェラーJrは大学の教授で、東北大震災で日本を訪れていましたが、とても裏社会を支配できる人物ではなさそうです。 現在最も力のある甥っ子のジェイ・ロックフェラーは、親父を殺された?恨みからデビッドと対立し、ロスチャイルド陣営(:ゴールドマンサックスオーナー)にいます。もしかしたら、ジェイが年老いたor死んだデビッドに代わり、ロックフェラー家を動かしているとも考えられます。そうなれば、アメリカは一枚岩ということになります。 いずれにしろ、加速するドル離れの流れや、中央銀行制度からの脱却の動きからも分るように、消費欠乏が衰弱した現代では、中央銀行制度自体も立ち行かなくなっていることは、金貸し連中も充分承知のことと思われ、次の策に打って出るのも時間の問題と考えられます。 その契機が、米国債暴落→デフォルトであると考えられます。 そしてその後、銀行預金凍結→新通貨発行(デノミ)により、国の借金を目減りさせることで、延命させることが考えられます。リンク すでに、銀行預金凍結への準備はJPモルガン・チェース銀行によって行われておリ(リンク)、このモルガン・チェース銀行ということも、ロスチャイルド系銀行とロックフェラー銀行の合併銀行ということからすると、何か象徴的に思えるのは、私だけでしょうか。。 但し、これはあくまで“延命策”でしかありません。先ほども述べましたが、消費欠乏が衰弱という状況の下では、中央銀行制度が存続できない構造にあるのです。すぐにまた、借金が増えていくことは間違いありません。 そこで、次の手として考えられるのが、TPPを契機とした「グローバル企業体が国家を凌駕する」新たな世界秩序の構築ではないかと考えられます。 現在、TPP参加企業を見てみると、アメリカ企業がほとんどを占め、しかも、ロスチャイルド系、ロックフェラー系それぞれ、仲良く参加しているではありませんか・・(リンク) 以上のような仮設や問題意識をもって、アメリカ・デフォルトの可能性と、それを受けた近未来予測、そして、今後の日本の未来像へ迫っていきたいと思います。 概ね以下の目次構成で進めていきます。 :m281: 1.アメリカ・デフォルトへのシナリオ :m282: 2.今回のデフォルト騒ぎはなんだったのか? :m283: 3.アメリカ政府に関する基礎知識 :m281: 4.アメリカ経済の苦境の実態 :m282: 5.デフォルトは避けられない!? :m283: 6.金貸しによる打開策の模索 :m281: 7.金貸しの次なる一手は!? :m282: 8.次の社会の未来予想 :m283: 9.日本の未来と可能性!? :m281: どうぞ :m034: ご期待下さい :m034: 2013年11月4日 admi 最新情報 No Comment «Amazonの凄味が一目でわかる画像がすごいと話題に!!!!!! 【画像】藤浪くん、謎のミュージカルポーズ» [...]

    ピンバック by アメリカ・デフォルトは起きるのか!?-1 ~プロローグ・・ロックフェラーはロスチャイルドの支配下に?~ | 時事・スポーツ・芸能最新トレンドニュース MagazineStyle — 2013年11月4日 @ 18:07

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