ハリーポッターでのすてきな出会い
今回は弊社のCEOの増田より。
視覚障碍者の方々と、今話題の『ハリ-ポッタ-とアズカバンの囚人』 を共に楽しんだ。
この体験談を聞いた知人は皆、とても不思議そうな顔をして私に聞く。「え~、目の不自由な方がどうして、映画を見れるの?」
私も、つい最近まで想像もしなかったのだが、何事にも方法はあるのだ。NHKの連ドラなどで副音声で説明が流れる。「朝子が立ち上がってドアに向かう。」といったように。映画では、映写室で音声ガイドさんがスクリーンを見ながらライブ中継。俳優の声と効果音とにあわせて、この音声ガイド(場面説明)をFMラジオで流すのだ。こちらはそれを聞きながら、場面を想像して楽しむのである。
当日、音声ガイドを務めた「たらこちゃん」は、事前に5回もハリーポッターを見て、30ページにも渡るスクリプトを自ら準備して来た。目を瞑っても、場面の状況が少しでもリアルに感じ取れるように、彼女は原作本も何回も読んでは、ことばひとつひとつを厳選した。 本当にすごい!! ひとつの映画のために、1ヶ月近く準備してきたそうだ。予行練習を重ね、視覚障碍者の方から改善点などのアドバイスをもらっての本番だった。
私も映画が終わった直後に、同行した皆さんから聞かれた。「狼男って、どんな形してるの?毛がないって聞いているんだけど…」「え~と、人間みたいな形で、顔が狼のように尖がっていて、すねにもまったく毛がなくて…(等々)」「え~よくわからないな(笑)…」「変身するときは、目つきが変わってくるのよね~」「そうそう、段々血走ってきて、超人ハルクみたいな筋肉質の体のように大きくなるの」
……このやりとりによって、説明することの難しさを初体験!! すかさず、「ハリーポッターの髪の毛の色は?」「山男って、3メートルぐらいあるって聞いているけど、どんな格好をしているの?」など、楽しい会話が続く。
映画の後の食事会もまた、非常に楽しかった。私の横に座った大学生の方から、「みんなに、いつもお送りしているメールが早朝・深夜の時間になってしまって、ごめんなさい。着信音で起こしちゃわないかなと、いつも心配しながら送ってます。でも許してください、勉強の合間でお送りしているので……。」「あ~貴方が送ってくださってるのね。問題ないよ~ありがとう」と非常に相手を気遣ったやり取りが聞こえてきた。詳しく聞いてみると、勉強の合間に、毎日TVでどんな映画がやっているかを皆さんにメールで配信しているのだそうだ。
この日、私は歩行誘導をさせていただいた。駅から映画館までご案内し、一緒に座って映画を楽しんだ。その行く道、たえず周りで起きている状況についても、お話するように心掛けた。そのとき歩道の上に敷いてある黄色のぶつぶつしたシート状のガイド(点字ブロック)についての話になった。「これを頼りにして歩くことはしないんだよ」「え、なぜですか。」「このガイドがあるところには必ず放置自転車があって、必ずぶつかって何台も倒してしまうんだ。それを一台一台起こしていくのが大変だからね」…なんということだ……。我々は、日頃何も考えずに行動していることに気づく。
今回は、視覚障碍者の方が、どんな風に映画を楽しんでおられるか、そして日頃、どのようなご苦労があるのか、ほんの少しだが理解する機会をいただけて、心より感謝しています。また映画ご一緒しましょう!次回は何を見るんでしょうね?
このような活動にご興味のある方はぜひ、シティ・ライツのHPをチェックして見てください。私は、主催:三井物産株式会社・協力:アサヒビール株式会社の「会社員のためのはじめてのボランティア活動ABC」で皆さんと知り合うことができました。(企画運営(社)日本フィランソロピー協会)